ブリキの太鼓 1 (集英社文庫 ク 2-2)
この本についてのレヴューを書くことは私には難しいです。
なぜなら、この本に潜んでいるテーマはあまりにも盛りだくさんで複雑だし、
さらにそれが幻想的に暗喩的にと あらゆる巧い(しかもそれが全然嫌味に感じられない)
コーティングを施して表現されているのだから、簡潔に要約することができないのです。
いやぁもう奥が深いというか層が厚いというか。
解説にもあるように 当時の民族問題の暗喩として読むのはもちろんおもしろいし、
心理学的な側面を意識して読んでも楽しめるのではないかと思います。
「三巻もあるのはちょっとなー」という人には、
フォルカー=シュレンドルフ監督が第一部だけを映像化した映画を観ることから始めるのもお勧めです。
ブリキの太鼓 3 (集英社文庫 ク 2-4)
この本を初めて読んだとき、すごい衝撃を受けました。
単なる歴史批判小説だと思い手を出したのですが、そんな領域に収まるものではありませんでした。
文章は隠喩だらけで、完璧に理解しようとしても不可能だと思います。
訳も個性的なので好みは分かれると思いますが、読み終わったあとでこの作者がノーベル文学賞を取ったことにも納得できたし、私は大好きな作品です。
ブリキの太鼓 (池澤夏樹=個人編集世界文学全集2)
池澤夏樹の責任編集による世界文学全集の1冊。
この有名な小説については、その題名も知っているし、映画化された際には観たこともあるし、ギュンター・グラスがノーベル文学賞を受賞したことも知ってはいたのだが、いまごろになって初めて読んだ。
映画化された際は、アカデミー賞を受賞したりと評判になったのだが、当時、中学生、高校生の自分は、その良さほとんどわからず、この小説自体の興味もほとんど持たなかったのだが、その後、グラスの過去の武装親衛隊所属問題などによって改めて関心を持つようになり、この全集に収録されたのをきっかけに読んでみた。
小説自体は、自らの意志で、3歳で成長を止めた主人公のオスカルの独白で、彼の数奇な人生を描いているが、グラスの故郷であるダンツィヒ(現在はポーランド領のグダニスク)の街が、ナチの勃興と没落を切り抜けていく様子も描かれており、単純な寓話ではない。
成長を拒否する主人公に、グラスは何を仮託したのか。3歳の幼児の姿をした怪物、freakが巻き起こすグロテスクな喜劇が、ナチスドイツ、そしてそれに賛同し、追随していったドイツ国民の行いを嘲笑する。そこに何を読むべきなのだろううか。
錻力の太鼓 (CCCD)
これはなんと豪華なBOX仕様ではないですか!
中身は24ページブックレット、ボーナスCDはメンバーの顔写真の紙ジャケ、ティン・ドラム本体は3面開きデジパック。
これだけで買いでしょう。
錻力の太鼓(紙ジャケット仕様)
ファンクなダイナミズム、美意識、不気味、アイディア、すべてがつまっています。Japanは下手に(いまでいう)ビジュアル系ぎみにスタートしてしまったのが敗因というか、それがここまでみごとに音楽性の高みに登りつめたことが実に素晴らしいです。ミックの納豆的なベース、リチャード・バルビエリの情念のSequencial Circuit / Prophet 5クロスモジュレーション、スティーブのドラム、そして何よりもデヴィッドのヴォーカルと楽曲、まさに金字塔。