マボロシの鳥
爆笑問題・太田光の初の小説。短編集。こだわりだったのかもしれないけど、改行や行間や「…」が多くて、読みやすいような、小説としては読みにくいような、ひいき目に見てもまだまだ「超ハイレベルなケータイ小説」くらいだろうか。「ある話を太田光が言葉で説明している」という語り口が強烈すぎて、(それは作中に嫌というほど現れているので狙い通りかもしれないけど)ひとつの完成された作品を「読んだ」という気はあまりしない。僕らが「文章で読みたいと思う小説」は、表現や文体の点でもっとスマートだし、どうせ「読む」なら話し言葉ではなく文字に著す「意味」がもっと欲しい。著者自身もそれなりの読書家なのだから、その辺もっと参照するものがあってもよかったように思う。(物語の雰囲気や設定・背景などには星新一や村上春樹、川端康成などの面影がちらほらと感じられる。特に村上春樹)短編集なのでそれぞれに好き嫌いはあっても、どの文章にも「読みごたえ」はあまりない。短編なのに、一気に読ませるでもなく、かといって難解でもない。この違和感は、文体の影響が大きい。そして、エッセイや対談で読める著者の思想や考え、理想が、ときに露骨すぎる形で小説のなかに入り込んでくるので、そうした瞬間に物語の「フィクション」部分(実はこの短編集、かなり幻想的な性格のものが多い)が、少女の妄想のように気恥ずかしく感じられてしまう。
ただ、「人類諸君!」の中の「神は天敵だ」というひとつの結論とか、「星の王子さま」と「銀河鉄道の夜」のその後を描いた「地球発…」は、普通の小説家、普通の読書家、普通の思想家からはちょっと生まれなさそうなアイディアで刺激的。特に「地球発…」は、小説家だったらサン=テグジュペリや宮沢賢治作品の続きを発表してしまおうとは、なかなか畏れ多くて思わないだろうから、そうした「怖いもの知らず」が処女作のなかにあるのは良かったと思う。飛行機乗りの「僕」もジョバンニも、あれから戦争を経験して大人になったなんて、とても切ない。
Dramatic CD Collection 淫らなキスに乱されて
『淫らシリーズ』第2弾。
この作品は、ヤメ検弁護士の中津(cv:置鮎龍太郎)とフリーライター藤原龍門(cv:森川智之)の話。
この二人で(攻:森川さん×受け:置鮎さん)のパターンがちょっと新鮮。逆は聞き慣れてるけどねぇ。
置鮎さん受けを聞くのは久しぶりで嬉しい。
基本クールビューティーですが、幼なじみの上条への恋情を消しきれないまま、りゅーもんとの恋に落ちていく戸惑いをいじらしく演じています。
幼なじみ3人組の検事の上条(cv:鳥海浩輔)警官の高円寺(cv:小西克之)との絡みがこのシリーズの魅力です。
テンション高めで楽しいところと、温かい心の結びつきにジーンとくるところがあってどちらも魅力的です。
本編の事件がらみのシリアスな話だけでなく、原作では陸奥さんの巻末マンガになっているショートも入っていて楽しいです。
上条と高円寺にいじられているりゅーもんが可愛いです。
上条(鳥海)と高円寺(小西)に頭の上がらない年下のりゅーもん(森川)という構図がなんとも面白いです。
鳥海・小西・置鮎が同級生という強引さ。結果、森川さんが一番年下の役っていう意外性。置鮎受けという最近では貴重。
という、聞く価値が満載の1枚です。
キャストは他に、上条の恋人の神津に福山潤さん。太田哲治さん・成田剣さん。
このメンバーでフリートークがないのがちょっと残念。
3作目の『淫らな躰に酔わされて』も秋にCD発売されます。
新キャラ高円寺のお相手の遠宮太郎には笹沼晃さんだそうです。どんな女王さまっぷりでしょうか?
日常にひそむ数理曲線 DVD-Book
ポリンキーのCM、だんごさん兄弟の映像、ピタゴラスイッチ、いたちのたぬき。。。
言葉遊びと、映像と、数学の魔術師、佐藤雅彦さんがまたしても度肝を抜く映像集を出されました。
それが、この本です。
まずは、上にある映像を必ず見てください!!
この本は物理と数学の教師は絶対買わなければいけない映像本、また「教え方」の本となるでしょう。
内容は、日常生活から様々な数学的曲線を見出すというもので、例えば自転車の車輪の回転から、サイクロイド曲線という、きれいな数式であらわすことのできる曲線を抜き出します。
だいたい想像がつくのが、サインカーブや放物線なのですが、私の予想をうらぎってくれたのは、タンジェント曲線。
あんなものが、日常生活の中に潜んでいるのか!と思ったのですが、なんと救急車やパトカーの回転灯に潜んでいました。
どうも、数学に興味が持てないのは、教師が日常生活でどのようなところにあるのかを上手く説明できないからだと、私の思っています。
本来の数学の目的ではないので、そこまでする必要はないと思っている教師も多いと思うのですが、多くの生徒が興味を持つのは、日常生活にどう応用出来るのか?どんな関係があるのか?といったことですね。
そんな意味でも、この映像を生徒に見せれば、数学に興味あるをもつこと間違いありません。
やはり佐藤雅彦さんはすごすぎます。 kuwako-lab.com