226 [DVD]
1989年公開、松竹・奥山和由プロデューサーが「仁義なき戦い」「二百三高地」の東映を代表する脚本家・笠原和夫に原作・脚本を任せ、五社英雄が監督した作品。笠原脚本は、昭和11年に起きた226事件を時間的に集約させ、ドキュメンタリータッチで書かれている。そのため、陸軍若手将校らの決起に至る過程は省かれ、彼らの背景でもある貧村の過酷な暮らしも挿入されることはない。ひたすら、事件が起きたとおりを、時間軸に沿って、忠実に描いている。そのため、将校らの性格付けに濃淡が乏しく、失敗に終わったクーデターへの感情移入も困難だ。歴史上、226の終結に関しては、天皇の英断が決定打となったことはよく知られているが、天皇の姿も現れず、天皇がなぜ激怒したかも見るものにはわからないだろう。五社演出は、計算ミスの混じった脚本をダイナミックに描いているが、高揚感に乏しいラストになった。
日本映画[監督・俳優]論 ~黒澤明、神代辰巳、そして多くの名監督・名優たちの素顔~ (ワニブックスPLUS新書)
ショーケンに対して“チンピラ”というイメージが役柄から強かったのですが、企画・製作も考えて色々やってきたんですね。妙に映画に詳しいのに意外な印象を持ちました。沢田研二に彼の世界対するライバル意識、市川昆にたいする反発、嫌悪をストレートに出してます。
内田裕也は沢田研二派でしたが。
面白いのですが、雑談的なところで終わってしまったので残念。
もっと観が俯瞰できる構成・内容になっていればよかったんですが。
ちょっと中途半端な内容。
ショーケン
前著『俺の人生どっかおかしい』(1984・ワニブックス刊)以来、24年ぶりの“ショーケン”こと萩原健一氏の自叙伝である。前回は大麻事件での逮捕から謹慎中に出版された書であるが、今回も映画『透光の樹』での恐喝未遂事件での逮捕〜謹慎の身から一区切りをつけ、再び人生を振り返る本書である。プロ書評家・吉田豪氏曰く、前著と比較して読むと面白さが倍増する。
ショーケンといえば、『太陽にほえろ!』マカロニ刑事、『傷だらけの天使』オサム、『前略おふくろ様』板前青年・サブ、また映画でも巨匠・黒澤明の時代劇超大作『影武者』、「たたりじゃ〜」の流行語で一大ブームを起こした『八つ墓村』、実在の事件を題材にした『誘拐報道』、ピカレスクロマンの傑作『いつかギラギラする日』など印象に残る役柄や作品が多く、日本を代表する役者の一人である!
本書は、若かりし頃の大麻吸引の常用性や女優たちとの女性遍歴を明かすなど一見爆弾発言のような内容に思えるが、出演作や共演者、お世話になった関係者に対しても熱い思いで語られている。
グループサウンズ時代からのライバル沢田研二、『太陽にほえろ!』石原裕次郎、『傷だらけの天使』水谷豊・岸田森、『八つ墓村』渥美清、『前略おふくろ様』川谷拓三・室田日出男などの共演者との挿話や当初、松田優作が演じた日本のヤクザ役の予定であった『ブラック・レイン』の裏話、また『影武者』黒澤明監督、『もどり川』神代辰巳監督、『いつかギラギラする日』深作欣二監督といった巨匠たちとの思い出話も面白い。
さらに、萩原氏が役作りにいかに力を入れているのかがよくわかった。とくにNHK大河ドラマ『元禄繚乱』徳川綱吉役と『利家とまつ』明智光秀役は興味深く、機会があれば是非とも拝見したい。
現在、仕事がなく独り身となった氏であるが、同じく還暦時に絶望に陥りながらもその後、見事に再起を図ったチャップリンや黒澤明のように復活することを期待したい。ショーケンの役者人生はまだまだこれからである。
八つ墓村 [DVD]
子供の頃、TVで観てトラウマになりました。小川真由美さんの鬼気迫る演技に惚れ惚れし、また震え上がりました。実話に由来する山崎努の殺戮シーンも凄まじい迫力です。また風景描写が美しく、心が洗われます。ショーケンや寅さんもいい感じです。これだけの内容が手に入るなんて贅沢極まりないですね。
男唄~昭和讃歩
木村と近藤という顔合わせ、このコンセプトにこの選曲。こりゃ買うでしょう。
渥美清の「泣いてたまるか」から植木さんの「これが男の生きる道」に西岡恭蔵の「プカプカ」その他、なかなかの選曲じゃないの。これをブルース唄わせりゃ泣く子も黙る木村と近藤がどう料理するか、ってな企画で、日頃、中古か輸入盤が中心で、値段の高い日本ものの新作なんて滅多に買わない私でも即買いでした。
だけど聞いたらちょっと肩すかし。大昔の憂歌団の「君といつまでも」みたいな破天荒なのをちょっとだけ期待してたんだけど、割と今風のアレンジでお行儀よくまとまってる感じ。なんか全体に歌い込み不足というか、アイデア不足というか、この2人が昭和の歌謡曲を歌うという企画にだけ頼りすぎというか、とにかくなんか物足りない、かゆいところに手が届かない感じ。うーん、ライブで観たらまた違うんだろけど。