ダンサー・イン・ザ・ダーク [DVD]
どんなに大変でも、主人公から明るい歌が消えることは無い。全編通して主人公は明るく歌い続けている。その明るさ故に、主人公の受難が重くのしかかってくるような気分になる。暗闇でも笑顔を忘れないこと、暗闇でも歌い続けること。そうしていれば、怖くない。押しつぶされそうな主人公の強烈な強さと、変えようの無い現実の板挟み。
ダンサー・イン・ザ・ダーク [DVD]
ミュージカルが好きで、昼間はプレス工場で働いている主人公セルマ。彼女はやがて自分が失明することを知っています。
そして愛する一人息子のために夜勤も始め、内職もします。
その理由は、遺伝でいつか自分と同じ運命になるであろう息子の目の手術のために、こつこつとお金を貯めているのです。
ストーリーは単純なのですが、観るべきところは圧倒的なセルマ(ビョーク)の存在感。あの歌声、演技。意図的にぶれ気味のハンドカメラの画像は観づらく、それはセルマの視界のようです。
ロードショーで観たとき、最初のミュージカルのシーンから、私はなぜか涙が止まりませんでした。
ミュージカルのシーンだけが、彼女の白日夢で、メイクも画面のコントラストも変わり、生きているようなセルマ、その声、その歌声が私の琴線に触れたのでしょう。
そして殺人。 これ以上のあらすじはあえて控えますが、これほど魂を揺さぶる声とこれほど暗いミュージカル映画は他にないと思います。
ビョークの個性が強すぎるので、生理的に受けいれられない方もいらっしゃると思います。事実、上映当時は最高!派と大嫌い!派にはっきり分かれました。
セルマが危機に陥ったとき、困ったとき、そのときに流れている音、リズムが突然ミュージカルに昇華し、ミュージカルが幻想なのか、現実が白日夢なのか、ミュージカルのときだけ、白っぽい画面が、カラーコントラストが鮮やかに変わり、セルマの表情が”生きて”いるのです。
そして、『秘密の約束』と息子のために、嘘の証言をします。そして衝撃の結末。
ダンサー.イン.ザ.ダーク。 暗闇のダンサー。
白日夢の中、暗闇の中でしか生き生きと出来ないセルマ。現実の中では彼女は自虐的です。
ロードショーの時、幕が下りてから、明日も絶対見に行こうと決めました。が、この興奮が2回観ることによって薄れるのであれば、しばらく経って観ようと思いました。そして7年ぶりに先日観ました。
それで一番印象に残った台詞、 『ここは静かすぎるわ。』です。
ダンサー・イン・ザ・ダーク【日本語吹替版】 [VHS]
病気の遺伝を知りながら子どもを産んだという事に対する贖罪の物語と見た。
キリスト教世界独特の原罪の意識、徹底した個人主義(神との契約による)を
肌で理解できない日本人には難しい映画だと思う。
主人公は母性愛ゆえに死んだのではなく、あくまでも自らの信念に殉教したのだ。
(子どもの為を思うのであれば、死を選ぶはずがない。)
その、魂の強さ、純粋さが、痛い。
彼女にとって、この結末はハッピーエンドでさえあったのだ。
ダンサー・イン・ザ・ダーク
この本はほとんどが登場人物の会話文だけで物語が書かれており、情景の説明とか心理描写だとかはほとんどなく、台本といったところ。 よって映画を観た方がこの本を見て、映画以上のことを知ることはできないが、逆に説明過多になって映画の感動を損なうことはない。 特筆すべきは各ミュージカル・シーンの歌詞の原語と邦訳を収録しているところ。あの感動的なI've Seen It Allはもちろん、Next to last songまでも収録。
ダンサー・イン・ザ・ダーク [DVD]
今、初めて観ました。
声を出して泣いた映画はこれが初めてでした。
セルマがあまりにも魅力的な人物で、死んだ親戚を思い出して泣きまくりました。
レビューの中に救いのない話、とありますが、それは本当でしょうか?
セルマの願いは最後に叶えられたのではないでしょうか。
セルマが最後に唄っている表情を見れば、彼女の死は単なる不幸な死と言えるものではなかったと思います。
ミュージカルも経験があり、同じ女性としてセルマに共鳴できる部分が多くあり、すごく心に染み付いた映画でした。