還らざる日々 上 (講談社文庫 こ 51-12)
ゴダードの作品の中で唯一人複数回登場する人物ハリーは御歳69歳。今回は入り組んだ複層のストーリーが最後に結実するスタイルではなくストレートなもので、悪友バリーと共に濡れ衣を着せられ、それから逃れながら真犯人に迫るゴダードにしては殆どヒネリのない展開となっています。それだけに大変読みやすいのですが、登場人物全てが一癖あり、誰を信じていいのか分からなくなる特有の迷宮に慣れた読者には物足らないかもしれません。相棒のバリーの減らず口は相変わらずながら年相応の衰えを見せているのに対し、ハリーはダメ男のレッテルを剥がす「頼れる男」になっています。また、作中の登場人物たるデンジャーフィールドの件の結末やエリカ・ローソンの件もボカされたままなのも気になりました。ちょっと食い足りません。やはり私にはゴダードの眩暈がするような変化球の連続が好みに合っているようです。
帰らざる日々 [DVD]
藤田敏八監督作品は全て面白いのですが、その中でもこの映画が一番です(今まで見た中でも) 昔、深夜にテレビで放送してたのを偶然見て衝撃のラストに物凄く感動しました。その後、名画座で2回見に行きました。当時付き合ってた彼女を連れて行ったのですが良かったと言ってました。良かったら見てください、お勧めです。