諸怪志異 第三集 燕見鬼編 (コミック叢書SIGNAL)
そう、五行先生から託された「推背図」は渡すべき相手に届くのですが これ以上書くとネタバレになるので止めます。燕見鬼@青眸君が五行先生から推背図を渡す相手を わざと聞かずに預かったのは1999年8月24日でした。(諸怪志異2005年調べ)という事は、12年がかりで やっとこさ話が一区切りになります。燕見鬼@青眸君もお年頃になりましたし五行先生は岩に乗って空飛んでるし大冒険活劇の風情漂っています。
最初に読んだ時に「あれ?ゾロアスター教じゃないか?」と違和感を感じた「喫菜事魔」についても後書きで但し書きが付きました。
この諸怪志異シリーズと西遊妖猿伝と中国モノがダブってますが 風情もカブってる感じです。
以前は そこをナイスタイミングで 稗田先生や栞ちゃんが助けてくれたり海神に導かれた集団がいたりして偏りを防いでくれていました。
先日発売された「妖怪HUNTER・闇の客人@井上淳哉」に厳しい書評を記載した処 参考にして頂けた様子でした。やはり諸星大二郎さんの話は この絵柄有ってこそですし、マンネリ化させない発想の凄さを今も凄いと感じています。
だからこそ本家の稗田先生に活躍していただきたい。大島くんや渚ちゃんとも久しくお会いしてませんし栞+紙魚子ペアも長らく拝見しておりません。
我々読者も そろそろ「日本が現場」の話を読みたいなあ、と......
諸星大二郎 異界と俗世の狭間から(文藝別冊)
諸星大二郎を一冊丸ごと大特集したムック本が登場です。今までは「ユリイカ」の特集や「西遊妖猿伝の世界」があったくらいで、ここまで多彩な内容の本は記憶に無い。諸星先生自身って謎に包まれてるので、こういうのずっと待ってました。モロファンが隅から隅まで楽しめる本になってます。以下は目次のトップ項目です。
美麗イラストギャラリー
二万字ロングインタビュー 「現代の神話」を語り続けて
特別寄稿
リスペクトインタビュー細野晴臣
諸星大二郎の仕事の現場
1972年執筆、幻の未発表マンガ「恐るべき丘」
「Gの日記」「海神記」アイデアノート大公開!
ショートマンガ(「マッドマックス」のパロディー・ギャグ。全4本・各1頁)
評論「諸星大二郎と人類学」
諸星マンガの貴重なシナリオ初公開!
キャラクター辞典60
主要50作品徹底解説
全290作品リスト
「美麗イラストギャラリー」は全7点。主に雑誌・単行本の表紙からのセレクト。「少女としゃれこうべ」と題された幻想的な見開きイラスト(「少年/少女SFマンガ競作大全集」より)と、縄文時代をイメージした可愛らしい少女のイラスト(「電撃コミックジャパン」表紙より)が凄く気に入りました。
「二万字ロングインタビュー」は豊富な写真や図版も交えて、計32頁もあります。めちゃくちゃ長くて読み応えありまくり。少年ジャンプ時代の話、自らの絵や創作についての話、個別の作品についての話、大好きだという映画の話等々、僕らの聞きたい事が、あれもこれも語られてます。
「特別寄稿」がまた楽しい。萩尾望都先生や高橋留美子先生など超豪華で濃い面々が、漫画もしくは文章+イラスト等自由にスペースを使って(各1頁〜3頁)、個性たっぷりにモロ先生への愛情を表現されてます。
「恐るべき丘」は本書の目玉の一つでしょう。1972年に執筆された、32頁の短編です。これは後に発表される「失楽園(約64頁)」のプロトタイプで、例の蜘蛛が出てくる所とか、ほぼそのままの場面もあります。
評論「諸星大二郎と人類学」では、公開の場で話すのは初めてという諸星先生と呉智英氏の、貴重な公開対談が読めます。人類学、民俗学、中国学の視点から、「マッドメン」「生命の木」「孔子暗黒伝」「西遊妖猿伝」等が論じられています。
「主要50作品徹底解説」もかなりきっちり書かれてて、新しいファンの人にはガイドとしても役立ちそうです。「キャラクター辞典60」も遊び心があっていいですね。
栞と紙魚子の怪奇事件簿 [DVD]
「ホントにあった怖い話」とか、「怪談****」と付くものが見れない怖がりな私でも、安心して怖がりながら見ることができる作品でした。ちょっぴりのお笑いも入っていて、ほのぼのした後味を味わえて、見てよかったと思っています。原作はよく知らなくても、十分に楽しむことが可能な作品です。
奇談 プレミアム・エディション [DVD]
この作品のモチーフとしてはキリスト教なのだが、演出、背景などで近頃見れなくなってしまった正統派和製ホラーな部分を見ることが出来る。
最近の和製ホラー作品は、年々欧米化の一途をたどりより直接的かつ衝撃的なものになりがちであるが、この作品では和製ホラーの特徴でもある「暗さ」「宗教性」「じわじわと迫り来る恐怖」がしっかりと表現されており、この数年に於いては最も純正な和製ホラーだと思う。
また神秘性にも富んでおり、決して最近主流の「怖がらせる為だけの作品」にはなっていない。そして藤澤恵麻, 阿部寛などのの演技もなかなかだ。
壁男 [DVD]
早川渉監督は、ずっと北海道をベースにしているそうだ。だから札幌の映像にも「おのぼりさん」的感覚がなく、好感であった。札幌駅前とかJRタワーとか、一応代表的なところは出てくるものの、ほとんどのシーンは市民でも「これどこ?」みたいな感覚じゃなかろうか。ストーリーは都市伝説に基づくもので、ひとりのTVマンがおふざけで書いた投書「壁男」が道内で話題となり、主演のふたりがそれに巻き込まれていく、というスリラーだ。堺正人の安定感は言わずもがなだが、小野真弓の演技力にはちょっとびっくりした。グラドル出身の中では比較的映画にも軸足を置いている女優だが、トルネードフィルムが撮る一級作品に主演、というのは初めてだ。まあ「モリノキオク」とかも悪い出来じゃなかったが、グラビアの延長みたいな役だったので、今回の影のある役柄をどう演じるのかと思ったが、充分以上の芝居だった。メイキングで「滑舌が悪いので字幕が付かないように」と言っていたが、どうしてどうして、女優として進化の見えた作品になった。舞台挨拶でも綾瀬はるかに負けず劣らずの天然ぶりが可笑しい。寒い札幌ロケでも、じめじめとした湿度を感じる作り方が面白いので、お勧めです。星4つ。