葬列 (角川文庫)
頼りないヤクザと素人女3人が、暴力団の別荘に殴りこむ話。
「OUT」にも良く似たストーリ展開は、ご都合主義とムリの嵐なのだが、
とにかくスピード感は抜群。うかうかしていると、
読者が置いてけぼりにされてしまいそうな勢いで疾走する。
劇画のような派手な展開はどこまでも映像的で、
映像に鈍感な私でもすぐに絵コンテが起こせそうだと錯覚するほど。
横溝賞の選者の一人も同じ感想を述べられていたが、
ラスト1行はゾクゾクするほど素晴らしい。
ノワールの小川勝己の原点として必須の書
眩暈を愛して夢を見よ (角川文庫)
最近読んだ小説の中で、めちゃくちゃ面白かった部類に入る。アンチミステリだと思う。途中までは普通の事件で、半分くらいからはぁ?と思う記述が続き、四分の一くらいから物語は完全に崩壊する。
その崩壊ぶりが最高。メタメタメタと連鎖する構想。うる星やつら2 ビューティフルドリーマー、パーフェクトブルーを合体させ、小説で映えるように非常に上手く再構築させたような物語。最高でした。
彼岸の奴隷 (角川文庫)
文章は悪くない。夢中になって一気に読める。いろいろつながっていて大作ではあると思うが。頭のおかしい女2人のリアリティがない。現実にこんな女がいると思えない。とにかく残虐なヤクザのインパクトが強すぎてそれ以外のことが小さいことにしか思えなく読後感が悪い。心臓が弱い人は読まないほうが良いと思う。