座礁 巨大銀行が震えた日 (朝日文庫)
作家の中には、前職の経歴があったからこそ書けたという作品がありますが、
この『座礁』もまた江上氏の前職・第一勧業銀行行員時代に経験された
総会屋利益供与事件という強烈な体験がなければ生みだされなかったでしょう。
特に東京地検の強制捜査の描写は、
その渦中で収拾に奔走していた者しか知ることができない
臨場感や緊迫感を伴って実にリアルに描かれています。
フィクションという形をとっていますが、江上氏自身もインタビューで
「1997年の第一勧銀の総会屋利益供与事件のドキュメンタリー」と話しているように、
総会屋に長きに渡って数十億円という不正融資を続けた銀行の暗部と、
戦後最大と言われた都市銀行への地検の強制捜査が入るまでが、
一般庶民の私たちにも分かりやすいように描かれていて、読み応え十分です。
それにしても銀行の不正融資(不祥事)は、
まるで子どもが親の財布からお金を盗んで、いじめっ子に与え続けたように、
実に子供じみたことから端を発していてあきれてしまいます。
不祥事の連鎖を断ち切るための指南書的な小説ともいえます。
ザ・バンク 堕ちた巨像 [Blu-ray]
世界的な巨大銀行「IBBC」の裏の顔を探る捜査官の戦いがサスペンスフルに描かれる本作。
『ラン・ローラ・ラン』『パフューム ある人殺しの物語』で知られるトム・ティクヴァ監督の美的センスが光る独特の映像やカメラワーク、そして絵になるカットの連続には酔いしれる事請け合い。
ストーリーは前半「IBBC」の後手に回り証人が次々と消されていく中でその実行犯を追い詰める刑事ドラマの様な展開から、正攻法では「IBBC」には勝てないと言う現実を前にクライヴ・オーウェン演じる主人公が苦悩の末にある決断を下す終盤までぐいぐい引き込まれます。
本作のハイライトシーンであるグッゲンハイム美術館での銃撃戦もスタッフが『HEAT』を意識したと言うだけあってかなりの力が入っており、忠実に再現されたセットで繰り広げられるリアリティ溢れる攻防は必見!!。
仲間の仇である殺し屋とすら手を組まなければならないジレンマ。
自分の信じた法と言う名の正義では「IBBC」を告発出来ない現実。
この世の矛盾や問題に苦悩する主人公を演じたクライヴ・オーウェンはハマり役だと思います。
ドイツ出身の監督故に全体的にアメリカ映画とは一線を画す、どこかお洒落で芸術的な雰囲気も好きな人には堪らないと思います。
決して派手な映画ではありませんが、地味でも良く出来たサスペンス映画が好きと言う人は観て損は無い筈です。
イラスト図解 銀行のしくみ
我々は日々銀行を使用しているがそもそも銀行は何をしているところなのか?
漠然と理解しているつもりでも実際は理解していない事に気づける本だと思います。
この本のよいところは題名から想像できますが、イラスト図解です。
イラスト図解で見ることにより銀行を中心としたお金の流れや預金と貸金、振込手数料、外国為替、投資信託の収益などを理解し易く、とても良い良書と思います。
また、銀行内部の部門ごとの仕事内容も書いてあるのでこの辺りに興味のある方にはさらに楽しめると思います。
ザ・バンク 堕ちた巨像 コレクターズ・エディション [DVD]
緊張感の途切れないサスペンスでとても面白かった。
物語はモチロン、どのキャラもリアルでいい感じ!
クライヴ・オーウェン、ナオミ・ワッツと良かったし、
ロケ地が秀逸で、余計に気分が盛り上がる映画だった。
特に、フランク・ロイド・ライトのグッゲンハイム
ミュージアムでのアクションシーンがスタイリッシュ!
あのユニークな建築物を、あんな風にじっくり見せて
壊してる〜って、そんなところがたまらなかった。
終盤の、トルコの屋根の上のシーンも印象的だった。
異国情緒を感じて、なぜだか心に残る風景だった。
見せ場も多く、ささいなシーンにニヤリとしました。
面白くて、ついつい2回見てしまった映画だった。
若手行員が見た銀行内部事情―なぜ僕は希望に満ちて入社したメガバンクをわずか2年足らずで退職したのか
私も2年弱で銀行を退職しました。主な理由は生活の全てを仕事に注がなければならないこと、それに見合ったやりがいと賃金が得られない事です。
就活中は人事担当者のセールストークに乗せられて、会社のいいところばかりに目がいき、悪いところから目を逸らしがちです。
多少悪い面が誇張されているような気はしますが、冷静な目で会社を選ぶためにもこの本を一読されることをお勧めします。