第29作 男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋 HDリマスター版 [DVD]
「男はつらいよ」の中で、私が最も好きな作品です。
寅さんとかがり(石田あゆみ)の恋は儚く、悲しい結末となってしまいます。
寅さんに恋するマドンナと、それを知りながら何もできない寅さんの不器用さが交錯し、情感豊かな素晴らしい名作となっています。丹後の漁師町の風景も素晴らしいです。
いつの日か、寅さんとかがり(石田あゆみ)が結ばれて欲しいなと切なく思いました。
ビクター邦楽名曲選(9) 歌舞伎/勧進帳
出演は15世市村羽左衛門の富樫、夭逝した12世片岡仁左衛門、そして弁慶には7世松本幸四郎と豪華です。さらに片岡八郎役に市川海老蔵(後の11世市川團十郎)駿河次郎役に市川染五郎(後の8世松本幸四郎すなわち松本白鴎)の兄弟が演じています。ライブではなくスタジオ録音であること、LPの時間制約から台詞に若干の変化があることが残念ですが、歴史的に貴重な版とおもいます。
歌舞伎界の家系・役者 梨園のひみつ (Book of dreams)
歌舞伎役者の系譜は襲名披露の時、どういう順番に「出世魚」するんだ?といまいち飲み込めていなかったのですが、この本にはそういった「家」の系図がわかりやすく書かれていてよいです。
現在活躍している、若手と有名な役者さんについてプロフィール得意な演目など紹介されています。コンパクトにまとめられていて初心者は重宝するでしょう。
ただ残念なのは、あきらかに女性向けの本の作り。表紙紙が桜色では男性は手を出しづらいのでは?内容も女性を意識して書かれている傾向にあります。
ただ、歌舞伎座(私はいつも一幕見)のお客さんを見ると圧倒的にマダムが多いんですね。「成駒屋!」と声をかける芸に厳しいおじさん達が3階席や一幕見には多いですけれど。
男性のファン層をつくるような、こういったてごろな解説本があるといいですね。だから星4つ。
とりあえず、女の子がこの本をもって、彼氏をさそってデートなどいかがでしょうか。
NHK大河ドラマ 太平記 完全版 第壱集 [DVD]
やはりこのドラマは総集編では食い足りなかったので、完全版発売は嬉しい限りです。第壱集では足利高氏(尊氏)の若き日から「建武の新政」まで。この時代を描いた唯一の大河ドラマで、昭和が平成に移って初めて実現できた企画と思います。当時関係者の苦労は並みではなかったのでは。全体を通じて大河ドラマでも屈指の出来だと思いますが、特にこの前半は良いです。主役陣も好演ですが、脇から支える緒方拳、片岡孝雄(当時)、フランキー堺、藤村志保、原田美枝子、近藤正臣・・・皆素晴らしいです。このクラスの方々は自分の力でキャラを作ってしまいますね。いつも感心しますが、殊に緒方拳には多分伝承が殆ど無いキャラを毎回完璧に「こういう人だったんだろうな」と何の違和感も無く納得させられてしまいます。片岡・後醍醐帝の高慢さと気品と苦渋を織り交ぜた存在感とともに、圧倒的な演技力を見せ付けます。ゴクミの北畠顕家を除いては、配役はほぼ完璧でしょう。(何んでこんな馬鹿なキャスティングをしたのだろうか??)時代考証も例えば後醍醐天皇は劇中では「帝(ミカド)」と呼ばれるなど、しっかりしています。「湊川」以降後半はかなり混沌とするドラマですが、前半をしっかり押さえて、是非通しで楽しんでみてください。