Cello‐phone
詩人の血、1991年の3rd。
今現在(2007年)、すっかり忘れられている存在となった詩人の血ですが、非常にクオリティの高いポップスをたくさん書いていて、聴かないでいるには非常にもったいない存在です。特にフリッパーズやオリジナル・ラヴなんかのアーバンな香りのするポップスが好きな方は、すぐにピンとくると思います。詩人の血というバンド名が、どうしても音のイメージと違うので、なかなか手に取りにくいですが、僕も一度聴いてすぐに虜になりました。
この3rdアルバムは、インストから始まり、どちらかというとスローテンポの曲に良い曲が多いです。M3、M10がとてもセンチメンタルで、特に良いなと思います。M9は彼ららしい美しく変わったメロディが印象的な名曲。彼らのアルバムには、こういうキラーチューンが一曲は必ず入っています。本当に実力のあるグループだったと思うし、再評価が来る前に買っておいて損はないと思います。
i love`LOVE GENERATION'
これまでの音楽を聴いてきた中で、最大の盲点だったのが、このバンドです。「詩人の血」というバンド名と、メンバーの出で立ちだけを見て、完全に違う音をイメージしていた。ちょうど筋肉少女帯とかいたし、辻睦詞さんのロングなドレッドヘアーを見て、そっち系のバンドかと思ってたんですね。音楽は外見じゃ分からないと分かっているつもりだったのに、当時高校生だった僕は見事にそんな穿った観方をしていたんですね。このバンドの音を端的に言うと、フリッパーズやオリジナルラヴと並べて聴ける音楽性を持っています。しかもそれらの渋谷系バンドに全く劣っていない高いクオリティで作られています。これは「詩人の血」としてはラストの93年作ですが、そんな感じは微塵も見せず、見事なポップセンスを爆発させています。また単に素晴らしいポップソングというだけに留まらず、何か心が熱くなる人間味みたいなものも滲み出ている感じで本当にすごいと思います。辻睦詞さんは相当のレコードコレクターだったようですが、そんなマニアック気質と共に、さっぱりとしたロッカー的な資質も持ち合わせているのだと思います。本当に音楽に愛されているというか、根っからの音楽人ですね。この後、結成したオー・ペネロープも輪をかけてサイコーなので見つけたら聴いてみてください。