怒涛の音楽力
強烈にどっかで見覚えのある絵面のジャケット、盤面から歌詞カードまで手抜きなくふざけ切ったデザイン、外注したPVやライブ映像が入っていないどころか、むしろ一生見ないで済ませたかったハッテン場の潜入映像を収録した、何のポジティブな宣伝効果も望めない付属DVD……。企画段階では「それいーね!」と一瞬だけ盛り上がるが、結局いろいろな組織や権力でもつれあっている大人は誰も実行しない、そんなアイデアと夢で荷台が溢れたこの作品は、自由と独立を地中深くに歌い上げる代わりに、「音楽業界」という絶壁が立ちはだかり当然の発禁処分を喰らうこととなった…。それから10ヶ月、一度は追放されたAmazonの密林に、奴は格安の台湾プレスで仕入れたディスクをひっさげ帰ってきた──。
現在制作中の次回作では田代まさしをゲストに迎え、ライブではベテラン緊縛師のSMショーを展開するニポポ氏。こういうと当然色物扱いは避けられないが、このアルバムは音楽作品としても細かいテクスチャーまで練りあげられた長く聴けるトラックが揃っている。「お前の頭かた焼きそば〜」とついつい口ずさんでしまうこと必至の「ナチュラル・ボーン・チリチリ」、かつてCDを出したインディーズ会社がつぶれた墜落アイドル小明が勢いよく怪しげな音程で歌う80sディスコ歌謡「ラ・ムー」、同じく小明がウィスパーボイスで歌うツンデレクトロニカ「踊れないですもの」、浮遊するカタコト英語のヴォイスサンプルとキックのコントラストが秀逸な「first time」などなど…。全体としてコンセプトがあるんだか何でもいいんだかは結局よくわかりませんでした!が、あらゆる角度のマルチな才を発揮するニポポ氏のつくりだす楽園は、何十年か後にどっかでポロッと再発されるような、21世紀の地下・地中文明(鴻巣市周辺より出土)を後世に伝える、カルト的な名盤となること間違いなしだ!
お笑いライヴ 人類滅亡~27連発!狂気のコント集~ [DVD]
『人類滅亡』と『芸人』…一見、関係性が解らないが、
本と共に、これを見れば、どんどん、この世界にハマって行きます
多角的方面から、『人類の滅亡』をテーマに繰り広げられる芸は、
世界の最期と言う、壮大な危機を感じさせられながらも、笑ってしまう
私は現代の“お笑いブーム”よりも、アンダーグランドが好きであり、
ここに収録されている芸人さんの、輝きの方が、魅力的に思えて仕方ない