BoPビジネス戦略 ―新興国・途上国市場で何が起こっているか
本書にも書かれているが、2009年は「BoPビジネス元年」と呼ばれるほど、
BoPビジネスが注目をされ,多くのメディアでBoPビジネスに関する特集が組まれた。
海外の書籍の翻訳を始め、政府の報告書をまとめた書籍などが多く出版された。
しかし、そのなかで,様々な情報が流れすぎ、
「結局何が正しいのか,何が重要なのかが,わからん!!」と思っている人は多いのではないだろうか。
本書は,その状況を非常にうまく整理している良書である。
企業向けに書かれた本ではあるものの,
企業にとってのBoPビジネスの意義(求める効果、メリット)だけではなく、
NPO/NGO、政府・国際機関、投資家、BoP層・現地の地場企業、社会全体にとって、
BoPビジネスはなぜ注目に価するものなのか,そして、そういった様々なステークホルダーが
いま世界において,そして日本において,どのような動きをしているのか、
そういったことを様々な状況を、うまく整理している。
また、この分野の書籍は、ともすれば、開発関係などの専門用語が使われ,よく理解出来ないといったことにもなりがちだが、
本書はそうなっていなく、非常にわかり易い表現で事例を用いながら,
誰でも理解できるように書かれている点も高く評価できる。
ちなみに、帯にも書かれているが、本書はBoPビジネスをプラハラード教授とともに考案した
スチュアートハート教授の推薦書でもある。
そういった意味でも,まさに、日本におけるBoPビジネスに関する入門書、
さらにはバイブルとしてふさわしい本だといえるだろう。
クラウドの衝撃――IT史上最大の創造的破壊が始まった
「クラウドコンピューティング」という言葉自体は、文字通り雲をつかむような(?)曖昧なもので、いかにも一時の流行語っぽい言葉のようで個人的にはあまり好きではありません。
実際、同じように胡散臭さのようなものを感じている方々も多いのではないでしょうか。
ところがその本当の中身はといえば、これまでのIT業界の常識を覆すほどの新しい潮流を示すものだと思います。
本書は、IT業界に多少精通していないと難解な部分はあるかもしれませんが、「クラウド」の本当の姿を知る(海外のネット企業がいかに先行しているかという事実も含めて)には最適だと思います。
また、このような時代の流れを目の当たりにして思うことは、ITに関するサービス提供の形態は、今の電気やガス・水道のようなものに近くなっていくんだろうなということです。