帝王学―「貞観政要」の読み方 (日経ビジネス人文庫)
『「帝王学」-そんなものは現代には関係ないと人はいうかもしれないが、
民主主義は権力を分散し、数多くの小帝王を生じうる。
行使しうる権力が昔の帝王より狭いというだけで、
その権力の強さは昔の帝王以上かもしれない』
『大衆が権力を握り「大衆=帝王」となったら
それは人類史上最大の暴君かもしれない』
という著者のはしがきにまず納得してしまいました。
北条政子・徳川家康が愛読したという「貞観政要」のうち
著者が感銘を受けた部分を紹介されたもの。
平易な現代語で、現代日本での実例など挙げながら
わかりやすく書かれています。
これもはしがきからの引用ですが、
常に、遠慮なく厳しく注意してくれる
人を傍らに於く様なものである本書を
傍らに置くことは、現代人にとって必要かと思います。
源狼 GENROH (限定版)
絵や音楽、キャラや声優さんの演技には文句なし。
シナリオも個人差あると思いますが私は大好きでした。
タイトルにも書きましたが、クリアした時は一冊の歴史小説を読み終えた気分に…。
とにかく長いです。本当に長いです。
私が今までやったノベルゲーの中では一番ボリュームがありました。
少し残念なのは、恋愛要素が少ないことと、攻略したい脇キャラがたくさんいること(笑)
戦いの中で芽生える恋なので、あっさりなのは仕方ないかもですが、もうちょっと恋愛要素欲しかったです。
キャラがとてもよかったからなおさらそう思います。
出来れば、もう少しこの世界観で遊びたいなぁ。
「貞観政要」のリーダー学 守成は創業より難し
中国唐の時代、国に安定と繁栄をもたらした名君、李世民の治世における
諸施策、行動、所作、思索、そして部下からの様々な進言がまとめられた、
「貞観政要」のエッセンスを現代語訳・原文和読・原文を並べ、その時代
背景や考証を交えて解説された本です。
大変よくまとめられており、読み易く、また刺激を受けました。
とりわけ、トップ層の心構えとして様々な名言がありますが、実は魏徴を
始めとした大変優秀な部下(ブレーン)が苦言も含めて、ある時は命を
かけてでも進言を行い、誤った方向に進もうとする主君を正す場面も多く
収められています。筆者の現在のポジションから見て、部下として、この
ような思慮・決意を持ってトップと対峙できているか、考えるに大変恥ずかしい
思いを抱きました。そのような意味から、部下学としても示唆を与えてくれた
名著ではないか、と思っております。
仕事上で悩む時等、手許に残してもう一度読み返していきたい本ではないでしょうか。
さだシティ
さだまさしの記念すべきデビューから通算40枚目(ソロ36枚、グレープ3枚、レーズン1枚)となるオリジナル・アルバムです。冒頭の市長挨拶でさださんが述べられている今年起きた東日本大震災に衝撃を感じた心の揺れと被災地の少年の「天を恨まず」の言葉に目を覚まされたというエピソードに強い感動を覚えました。また、旧「まさしんぐタウン」の住人達の懐かしい三つの逸話は微笑ましく楽しんで読みました。それから巻末のライナーノーツのタイトルがガイドブック(旅行案内書)という「主人公」の歌詞に出て来るフレーズだと気づいたのも真に嬉しい驚きでした。本作は震災の時期に配慮してか生真面目でユーモアは殆ど無く、ノスタルジックな淡い夢を見ているかの様な印象の断片的な短篇小説集の趣きですが、やはり繰り返し何度も聴き込む程にさださんの優しい世界がしんみりと心に深く染み入って来るでしょう。
『桜の樹の下で』さださんが桜を歌った曲は、昔は「桜散る」「初恋」「心斎橋」等の切ない物が多かったですが、最近は「春爛漫」や本アルバムで歌われる様なポジティヴな作品が増えて来たなと感じます。
『名画座の恋』名画座の恋が終わる頃、大人になる僕はきっと「交響楽」みたいな恋を経験したに違いありません。
『プラネタリウム』宇宙の大きさと恋人達の心の広さを比べる「天までとどけ」の世界観をクールに歌い切ります。
『廣重寫眞館』古き良き時代が確実に終わりを迎える事の寂しさを感じながらも新たなときめきに胸を躍らせる前向きな心情を歌います。
『古い時計台の歌』「生命短し恋せよ乙女/戦え男の子」と歌い、老いても一生青春なんだよとオールド世代を鼓舞し活力を与えてくれます。
『図書館にて』図書館で自由に想像の翼をはためかせた果てに二人の恋は実るのか?答は最後に明かされますが、何れにせよ恋も読書も彼の生涯に渡って続きそうです。
『黄昏アーケード』「絵はがき坂」の別れの様に元気には振舞えない諦めの思いが漂う恋を、平静を装いそっと噛み締めて歌います。
『美術館』「肖像画」の様に強く自信満々ではない気弱で切なげな恋だけれど彼の幸せを心から祈ります。
『強い夢は叶う』「辛い時も笑って明日を諦めずに頑張れば、きっと夢は叶うのだ」という信念を歌い勇気づけ力強く励ましてくれます。
『泣クモヨシ笑フモヨシ 〜小サキ歌ノ小屋ヲ建テ〜』曲名を見て直ちにさださん流に解釈された宮沢賢治の名詩「雨ニモマケズ」の世界だなと感じました。さださんの望まれる限りは今後もずっと歌い続けて行くという確かな意志が伝わって来るしみじみとした人生歌の名曲です。
『桜の樹の下で 〜reprise〜』単純ながら心癒してくれる優しいメロディーが長く記憶に残ります。
さださんはこれまで500曲を超える作品を発表し来年の春には60歳を迎えられます。さださんには何時か「主人公」や「風に立つライオン」を超える名曲を書いて欲しいという長年に渡る願いがありますが、でもその結果はどうであれ今後も若い頃の名曲達に負けないコンサートで歌われる愛着のある曲をたくさん生み出して頂きたいと願っています。