ナタリア2
ラジオで聞いていましたが、済んだ歌声、Pureな旋律を奏でる弦の音色に魅せられてCDを購入しましたが、今まで以上に感動しました。ナタリアの美しさ、日本語も綺麗で日本人以上に素晴らしい歌姫です。
ミート・ザ・ブルーハーツ~ベスト・コレクション・イン・USA
ベスト&ライブはこれが初だったはずですが、後発より好きな選曲。アメリカリリース物だけあって、パンク色強めでアメリカ人受けしそう。個人的にダンスナンバーからハンマーの流れが、ライブのラストからアンコールっぽくて好き。
ブルーハーツはライブを聴きに来てもらってこそのバンドなのでライブ盤は出さないとヒロトが言ってたからか、アメリカでのライブ音源2曲だけって惜しい気はする。アメリカツアーのライブ盤出さないとこが、ライブバンドのブルハらしさなんでしょう。
原発事故を問う―チェルノブイリから、もんじゅへ (岩波新書)
さすがにNHKと思わせるチェルノブイリ事故の綿密な調査に基づく労作。原発共通の問題点を整理するのには極めて有効。
実験炉をわざと暴走させて妻の不倫相手と共に爆死した原子力技師の例や、裸ロウソクで発電所機器の空気の漏洩をチェックしていて火事を起こした例、バスケットのラジオ中継に熱中して放射能水の溢流に気が付かないなど、スリーマイルやチェルノブイリ以外にも人為事故は多発していた。
昨夜の福島原発の海水ポンプ故障の件も現場の見回りでないと発見できないとは原始的である。止まれば異常警報が出るなどのシステムになっていないとは驚きである。
一般の化学プラントでは、特に危険な工程には同種の検出計を3個設置してその内の2個の値が危険値となれば自動停止としてある(検出計の故障も想定して3個設置しいる)。原発ではそのレベルには行っていないらしい。
冷却用の海水取り込み口には季節によって貝類や海草が着床するので吸入パイプの詰まり対策は常識であり、神経を使う所であるが、総ては経験の浅い下請け、孫受けにやらせている印象である。
チェルノブイリ原発の構造的欠陥や省庁間の情報阻害に基づく事故原因を隠蔽して作業員のミスで片付け、それを原発プロジェクト推進を基本姿勢とするIAEAが黙認する実態は恐ろしい。
IAEAの健康被害調査も30km以内の避難民13万人、事故処理作業員60万人は対象外とししているので、後遺症は大したことは無いとの結論になっている。
本著者の調査では6年経過の時点で事故処理作業者の10%が発病している。作業環境の放射線レベルを過少評価して作業者を募集し、作業後の被爆線量の記録も数十分の一の低レベルにしていたらしい。
チェルノブイリの例ではセシウム137は後遺症はないとの新聞記事があったが、背景を確認しないで鵜呑みにしないほうが良い。本書によるとセシウム137は脳障害を起こすらしい。
事故発生時の操業担当者は死亡者以外は有罪判決、禁固刑となり、その遺族までが白眼視され、冷遇されている様子は誠に不条理である。
チェルノブイリは本質的に不安定な炉心制御システムが原因で事故が起きた。
使用済燃料の処理法が無いままの原発プロジェクト全体が同様に本質不安定である。
燃料棒の周囲で水が沸騰しその蒸気で発電しているわけだが、高温になって沸騰すると気泡の分だけ中性子が通りやすくなるので、加熱は更に進行する。これが従来のボイラーと違って、原子炉一般が暴走し易い理由であろう。
垂直管内の気液混層流の研究報告が原子炉分野に多いことは認識していたが、沸騰現象がシステムを不安定とし原子炉暴走の原因となるためにこの分野の研究の多いことが理解できた。
これを見ると、原子炉は本質的に不安定な発熱システムで沸騰現象、気液混層流研究など論文は書けても問題解決にはならない。
事故が起きれば企業の手に負えない補償問題が発生すると尻込する電力会社の態度は当然である。それで、事故補償に関する議員立法を作って電力会社に原発採用を押し付けた経緯が有ったらしい。
「事故が起きたら終わり」とは皆が自覚していた訳である。
「戦争は勝ち負けで終わるが、原発事故は永遠」と言うチェルノブイリ被害者の声がある。
一回の洗濯に何時間も掛かるような自動洗濯機や過剰な自動販売機などで貴重なエネルギーを無駄使いする生活習慣は改善すべきである。
モスクワの第六病院で治療に協力したアメリカ人医師の「チェルノブイリ」なる著書は医師としての観察であるが、余りに個人的経験に偏っているので、原発事故の全体像を冷静に理解するためには本書のほうが遥かに有益である。
原発事故直後の現地の事情を被爆覚悟でシェフチェンコが映像に記録し、これに解説をつけて出版した「チェルノブイリクライシス」]奥原稀行、竹書房,1988との併読を奨める。シェフチェンコは数ヵ月後、このフィルム編集中に倒れ翌年死亡という壮絶な記録映画。
チェルノブイリから原発問題全体が伺える。
2011/05/29記
原発事故緊急対策マニュアル 放射能汚染から身を守るために
内容は適確で、原発の多い日本に住む人に不可欠な知識だと思われます。もっと内容を修練し、さらに分かりやすく小学生にもわかるモノから、外国語バージョンまで色々と作り税金で配布すべきだと思います。文科省の仕事でしょう。
もの食う人びと (角川文庫)
発表された当時、内容面からして話題になったようだが、
十数年たった今でもかなり面白い。
ごちゃごちゃと能書きを傲岸に書き散らしているわけではなく、
取材した各地の現実を必要な分だけ書き並べ、的確な感想をちょいと載せただけだから読みやすいし、
且つ、文章が上手いからその地の雰囲気を十分に味わえる。
作者自身、世間にもの申すという意欲に駆られて取材したわけではなく、
行き当たりばったりで訪れたらしいから、その分リアリズムが損なわれていない。だからまた面白い。
しかも各地の成功者の美食を並び立てているわけでもなく、
むしろ、敗者の味とも言うべき貧しさや哀しみが溢れる食事が多い。
それがまたこの本の味わいに、深い味付けを施していると思う。