放浪記DVD-BOX
見終わって3分後に涙があふれてきた。
ラストシーンの芙美子や菊田の台詞をはじめ、さまざまなシーンを思い返し、励まされ、たいへん元気をもらいました。
森光子自身がインタビューで語っているように、舞台は貧しさ一辺倒の空間で、観客は現代の繁栄を忘れて暗い舞台空間に浸されます。最後にやっと成功した芙美子を描く場面でも、日夏京子に言わせているように、ちっとも幸せではないんでしょう。
しかし、お金はないし、悩み事、心配事はちっとも解消されないが、誰に文句を言っても始まらない。誰に助けてもらおうなどと考えないで、生きていかなきゃならない。
けれどもそれは、生きていること自体に感謝、などという抽象的なきれい事を言って美化することではない。生まれてきたから生きていく、生きるために一所懸命仕事をする。それだけなのですが、そういう人間のありのままの姿を見たことで、納得し、感心し、大いに励まされ、元気づけられます。
DVDで繰り返し見る度にまた何か発見がありそうで、これからも楽しみです。
特典映像のNHKスペシャルの中で、出版記念会シーンの日夏京子役を奈良岡朋子や黒柳徹子バージョンで見ることが出来ますが、どうせならラストシーンでの奈良岡版や黒柳版も特典映像に入れてほしかった。
70’s TVテーマ・コレクション
サインはV、アテンションプリーズ、金メダルへのターン、奥様は18歳、美しきチャレンジャー、時間ですよ、ビューティフルサンデーなどなど、曲目を並べればその素晴らしさが実感できると思います。当時、テレビっ子だった。朝から時間さえあれば、テレビ、コマーシャルソングと共に一生懸命歌ったものです。ありがとう、いいCDです。
冷飯とおさんとちゃん [DVD]
本作は山本周五郎の短編3本が原作のオムニバス映画で、舞台はすべて江戸時代。主役の中村錦之助が、身分・境遇が全く違う3人の主人公を絶妙に演じ分けていて素晴らしい。三つとも周五郎作品らしく人間の善意に対する信頼が基調になった心あたたまる家族愛ドラマで、なおかつ江戸時代の市井の人々の慣習がよく描かれていて歴史の勉強にもなります。木暮実千代、新珠三千代、三田佳子等、東映以外からも多数参加した豪華共演陣も素晴らしい。ちなみに「ちゃん」に出てくる、ちょっと毒舌だけど可愛らしい末娘は、幼い頃の藤山直美だそうです。
個人的には最初の「冷飯」が面白かった。主人公は武家の四男坊の「冷飯」侍。当時の慣習では、ラッキーな婿養子の口でもなければ、一生結婚できず部屋住みで終わるのが彼の持って生まれた定め。そんな境遇でも悲観的にならず、趣味の古本集めと好きなお菓子を生きがいに、それなりに充実した毎日を過ごしている。そんなちょっと浮世離れした「冷飯」侍と、家族や友人達との愛情あふれるほのぼのとしたやり取りが何とも言えず楽しい。