成恵の世界 その3 親愛なる人々
タイトルの「成恵の世界」って「非Aの世界」のもじりだそうですが、A・E・ヴァン・ヴォークトがどうこうなんかどーでも良くなってる程作品にはまっているのが素晴らしいですね。成恵が(はじめや香奈花も、だな)和人を媒介に自分の世界を広げていく話のタイトルに、これ以上のものはありますまい。
第7話「天使と宇宙戦艦」はハルナ登場の話。成恵の貧乏性と和人の健気さが可愛い。声だけのドラマでもインパクトがあるハルナの”エンゲージ!”を映像でも観てみたいですね。第8話「親愛なる私へ」は成恵が分裂する話。珍しく和人がカッコいい。第8話「しあわせな生活」は原作の動物園に行く話とハルナの旅館に行く話を一緒にした話。ちょっと無理が無理があるな。でも面白いです。
成恵の世界 (6) [DVD]
成恵とその仲間たちの手作りによる、春名(ハルナ)と島田オーナーとの結婚式を取り上げた第11話を含め、アバロン人の襲来でドキッとさせられた第1話を除けば、笑いあり感動ありで文句なしに楽しめました。それが、第12話(最終話)ではアバロン人の再襲来でやや殺伐とした雰囲気になり、見ていて落ち着けませんでした。
また、第12話では「モノ」としての「機族」が強調され、ちょっとかわいそうに思えました。終盤、アバロン人からの攻撃や、ウイルスに冒された天堂 蘭の暴走で同士討ちを余儀なくされ、致命的なダメージを受けた監察庁の機族たちを気遣う和人に、修復可能であることを匂わせるテイルメッサーの発言があったのはせめてもの救いでしょうか。
第12話では「成恵と関わることで、この先どのようなハプニングに見舞われようとも、和人の成恵に対する想いが揺るぐことはない」ということを強調したかったのでしょうが、私個人としては、それまでの雰囲気を壊すことなく「着陸」して欲しかったです。ということで、少々手厳しいかもしれませんが、これが私の評価です。ただ、第1話とのつながりが見て取れるので、こういうまとめ方もありかな、とは思います。
TVアニメ「成恵の世界」オリジナルドラマ vol.2
ジャケットイラストは、成恵、鈴、四季のスクール水着。(公式サイト参照)
アニメ放送前だったので、ここまでアニメにするのかぁ!?
と驚いたが、実際は、このCDに収録されたエピソードはアニメ化されなかった。
聴きどころは、前のCDシリーズで四号ちゃんの声をあてた、西村ちなみが今度はカントクを演っているところか。
ほぼ原作どおりの構成はランティスからでたCD1と比較すると、どちらかといえば、VAPから発売されている前のシリーズの方に近い印象。
アニメは終ってしまったけれど、この調子でCDドラマを続けて欲しいところだ。
成恵の世界 VOL.1 初回限定版 [DVD]
アニメ版の特徴のひとつに、八木はじめが、最初から明確にもう一人の成恵として扱われている、というのがあります。どっちも片親でコンプレックスを抱え込んだ孤独で屈折した娘だけど、成恵が、ひょんなことから自分の理解者を得て、閉じこもった自分の殻から出ようとしているのに、はじめは唯一の理解者を遠ざけ孤独の深みにはまっていく、っていう(2話のラストでちょっとほっとしますが)、明るく楽しいラブコメらしからぬなかなかな話をやってるんだよね。これが、香奈花との出会いや成恵との和解で、彼女がどう変わっていくかは、ちょっと先のお楽しみ。この辺に、作り手のはじめに対する愛情を感じます。推奨盤。
成恵の世界 オリジナルサウンドトラック
何が聴きたかった、って、先立つラジオドラマでもおいしいシーンに使われていた「優しい気持ち」と「大切な人」です。もう成恵は絶対これだろー、っていうこの曲が、TVシリーズでも効果的に使われたのは、ボクも嬉しかったですね。アルバムの構成が全体をひとつの作品として聴かせる構成になっていないのが(各話毎になっている)評価の分かれる所だと思うのですが、個人的には非常に気に入っているので星5です。