向田邦子との二十年 (ちくま文庫)
没後何年たってもフォロワーもファンも減らない向田さんの
素の姿を横で見ていた、久世さんによるエッセイ。
向田さんのたたずまい、生きかたが
あまりにも素敵で、格好よくて可愛くて切なくて
女性だけど、抱きしめてあげたくなります。
完璧にみえる憧れの向田さんの、違う姿を
垣間見れて楽しく拝読しました。
自身も作家である久世さんの文章も美しい素敵な本です。
向田邦子X久世光彦スペシャルドラマ傑作選(昭和57年~昭和62年)BOX [DVD]
向田&久世の強力な顔合わせ、そして向田さんの男女の世界観を表現するのにピッタリの女優・田中裕子さんに出会う初期作品(6作品の内の2作品)が納められている。昭和初期の正月風景そして小林亜星さんの音楽と黒柳徹子さんのナレーションがドラマの骨格をさらにしっかりと固めている。
田中裕子さんの美しさが際立ってました。
歳月なんてものは
正月には久世さん演出の向田ドラマを観るものだ、と決まっていた。
いつだったか、とうとう終わりとなり、しばらくして
久世さんもいなくなってしまった。
その後も向田ドラマは時折やっているが久世さんでない、
と思うとどうも観る気がしない。
久世さんがじっと観察したおもに俳優たちについての小文が並ぶ。
「私を泣かせた柄本明」「静かに変わった小泉今日子」
「帽子の岸恵子」…ちなみに、樹木希林だけはそのまま
「樹木希林」。
生瀬勝久の章はないのだが、印象的な一文が記されている。
これだけで、生瀬勝久はどれほどうれしかっただろうと
身勝手に想像する。
その他、久世さんが少年の時に出会った本、銀幕に見た西洋の俳優と女優。
そして風景。父の死。
あとがきにかえて、の夫人の最後の文章が濃い余韻を残す。
夫人もたいそうな文筆家なのだと初めて知った。
桃 (中公文庫)
果汁をじゅるじゅるしたたらせる程に濃密に熟れた桃の
薫りが、いずれの短編からも読んでて漂って来る。
この作品を読んで、「桃」という果物、「桃」という漢字自体に
色気を感じてしまうようになった。