作曲家別演奏法 2 モーツァルト
モーツァルトのピアノ作品の、その作られた背景、楽曲分析、演奏のポイントがきめ細かく、そしてわかりやすく書かれた本です。モーツァルトのピアノソナタの楽譜を横に置いて照らし合わせながら読むことで、理解がいっそう深まります。モーツァルトがいっそう好きになり、モーツァルトをたくさん弾きたくなる・・・そんな本でした!
作曲家別演奏法 久元 祐子:著
それぞれの作曲家について、生まれ育ち等の基本的な事項から
演奏に際しての具体的な注意点にまで踏み込んで、
しかも平易な言葉で記されています。
各作曲家で実際に数曲を取り上げ譜例と共に実に詳細な解説がなされていますが、その内容は作曲家に共通していえる内容が多く
通読するとその作曲家への取り組み方がみえてきます。
また、演奏家の方がどれだけの注意をもって曲に取り組んでいるかが伺え、その姿勢そのものも大変勉強になります。
モーツァルトのピアノ音楽研究
「ピアノ音楽」となっているが、ピアノ曲全般ではない。ほとんどがソナタについてのページ。
モーツァルトにとって重要な協奏曲にもふれられてはいるが、ソナタに対すると比重的には1/10以下。
3重奏曲、4重奏曲などにはまったくふれられていない。
第1章はチェンバロから始まった鍵盤楽器の発展の様が述べられ、そこはよく調べてあり、わかりやすく的確。
それ以降は、モーツァルトの生涯を伝記的に追いながら述べているが、文章の重複があって読みづらい。
第6章は唐突にハイドンとモーツァルトの話になり、内容的には前の部分との単純な重複がまたあり、
本の品位と価値を低めている。
そうした難点はあるが、表紙のB級さに比べて、中身は堅実。
学習するモーツァルト
雨上がりの朝、モーツァルトの初期ソナタを聴く。至福の時である。まず変ホ長調K.282、身体の中を風が吹き抜けるようだ。2曲目からはクリスチャン・バッハとモーツァルトの同調ソナタが交互に披露される。バッハのト長調ソナタはシンプルで美しい。第二楽章の変奏曲が特に好きだ。3曲目は同じト長調のモーツァルトで、第一楽章ではバッハとのテーマの類似性が指摘される。なるほどそうか。第二楽章アンダンテの美しさはこの作曲家の真髄。4曲目、5曲目はニ長調のソナタ比較だが、大曲とも言える「デュルニッツ」ソナタ(完璧な演奏である)の部品がバッハから来ている、という指摘は、研究者でもあるこの演奏家ならではであろう。力を抜いてうっとり聴くのも良し、解説に導かれて「学習」するも良しの価値あるアルバムだ。
作曲家ダイジェスト CDブック シ ョ パ ン
CD付きブックには結構やっつけ仕事がありますが、この本はショパンの名曲30曲の解説とその一部の演奏(「ピアノ三重奏曲」だけ音源が未収録です。ただし落丁ではありません)、そして途中途中に「作曲家を知る」コラムをはさむという体裁で丁寧に作られています。特に久元祐子氏のピアノ名曲の解説(19曲を演奏家の立場から解説しています)が読みごたえがあります。