嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)
なんて面白い本なのだろう! そして米原さんてなんてスゴイ人なんだ
ろう!それが読後の印象です。
米原万里さんについては「ブロードキャスター」などのコメンテータと
してよくお見かけしていましたが、紹介される肩書きは「ロシア語通訳
・エッセイスト」だったと記憶しています。何者なのか興味もなかった
し著書を読んだこともありませんでした。
どこかの新聞書評で高く評価されていたこの作品を読んで、彼女があり
とあらゆる意味で凄い、凄すぎる人だと知りましたが、すでに時遅し、
彼女は2006年にガンで早すぎる一生を終えていました。
日本共産党幹部の娘として、冷戦下の東欧で世界中から集まった共産党
員の子弟用の学校で超エリート教育を受けたときの思い出話と、ソ連崩
壊後にかっての同級生を探しにゆく話なのですが、人間はイデオロギー
や人種・民族を超えて一つになれるということを示唆してくれます。
また、共産主義というもののウソ臭さや建前論を暴きつつも、一品手作
り的な人としての教育や人材育成には労力をおしまなかったソビエトの
凄さを教えてくれます。
冷戦終結後にかっての同級生たちが外国人に対し手紙の返事すら禁じら
れていたことと、それぞれのその後の重すぎる人生を知るというような
お話です。このような人生体験を経てロシア語を身に付けた米原さんの
ような人はもう現れないであろうし、このような作品を執筆できる人も
いないと考えた場合、その損失の大きさに慄然とせざるを得ない。
ペットの話や通訳の話などもおもしろいが、できればソビエト式の教育
や東欧での生活などもっと書いてほしかった。(手遅れであるが)
冠 Revolution
笑うためのCDではない!音楽として最高に素晴らしい出来の作品です。
なんといっても実力派DJ,コラムニスト、ミュージシャンであるコモエスタ八重樫氏がリミックスしているのだから、音楽センスは抜群なのだ!
「ムサシ」シベリア・ミックスはなんと大滝詠一さんの「さらばシベリア鉄道」風のアレンジだ。「炎」フラメンコ・ミックスは哀愁漂うスパニッシュ・ギター?の音色がいっそう涙を誘う。ポップスファンのツボを痛いほど刺激するぞ。そして推薦者は関根勤!買うしかないでしょう!
こんな夜更けにバナナかよ
まず、「こんな夜更けにバナナかよ」というタイトルが滅茶苦茶いい。
扱うテーマがとてつもなく重いにも関わらず、ビミョーなユーモアと
軽さを上手く醸し出している。タイトルだけでも大成功の本である。
内容は健常者の私には正直、重過ぎました。でも、鹿野さんの本当に
純な所、人間らしい所とそれを取り巻くボランティアのふれあいは読
んでいて少しも飽きさせることがありませんでした。皆が皆、裸でぶ
つかりあっている姿はリアルタイムで見ているような感動がありました。
著者の渡辺一史さんはルポライターとしても作家としてもとても力量
のある人だと思います。これからもドンドンいい作品を書いて欲しい。
一言で言えば、この本を読んで「世の中まだ捨てたもんじゃないな」
と感じました。上手くは言えないですがこの本には何か無垢なものや、
透明感があります。
雪男は向こうからやって来た
雪男なんていうものは
たとえばUFOや河童やネッシーやツチノコと同じような、
子供だまし的なものだと思って今まで生きてきてしまった。
この著者も、そう思って生きてきた人間だ
でも、世界的な登山家なども雪男を見たなどといい、
雪男を真剣に探すことに生涯をささげたような人もいたり、
朝日新聞社が雪男探しを後援するなどという事実もあったりし、
完全な子供だましと言い切れないようなものであることが
この作品では徐々に示されていく。
そうすると、いつしか自分も
「ひょっとするといるんじゃねえかな、雪男」と
この物語に巻き込まれていくのである。
「雪男」の物語に巻き込まれやすいのは、
他の未確認生物に比べて、
目撃者がなんとなく信用できそうだということが挙げられる。
ヒマラヤでしか見られないとなれば、
ヒマラヤにいける人たちが目撃者になるのであり、
そのへんのインチキくさい人が語るUFOの話とは信憑性に差が出る。
雪男探しの帰趨は措くとして、
未知のものを本気で探す魅力というのが、
本書からはにじみ出ていた。
出てくる人がみな魅力的だった。
ノンフィクションの醍醐味が味わえる。
鬼灯の冷徹(5)限定版 (プレミアムKC)
「限定版」なるものを初めて買いました。おまけ?ってこんなもの、ですか?
できたら使ってもなくならないものを希望します。
クリアファイルとか(他ででていますが)ストラップフィギュアとか地獄地図とか。
一筆箋は絵柄を選んで普通に買いたいな〜と思います。
(使えばなくなるのですから、使えないじゃないですか〜)