NHKみんなのうた「グラスホッパー物語」 [DVD]
セピア調の映像に、哀愁のある歌と、ノッポさんとバッタのかわいらしいダンスがよくあっています。ノッポさんのダンスを初めて見たのですが、ユーモラスでおしゃれな感じで、魅了されてしまいました。
ノッポさんのエッセイを読んでからこの歌を聴くと、よりいっそうメッセージが伝わってきました。
モーム短篇選〈下〉 (岩波文庫)
本短編集には,1936年(モーム62歳)から1947年の約10年間に発表された三つの作品集「コスモポリタンズ」「処方は前に同じ」「環境の動物」から選ばれた短編が収録されています。
「コスモポリタンズ」から選ばれた5編は,ショートショートと呼ばれる短めの作品で,いずれもラストでモームの筆の巧さにうならされる。あらすじだけを聞くと何でもない普通の話なのですが,これがモームの筆にかかると,ぐいぐいと惹きつけられる実に読み応えのある作品になっています。
「処方は前に同じ」からは3編が選ばれ,うち「マウントドレイゴ卿」は傑作です。
「人間は複雑で突拍子もない。心には矛盾を宿し,暗く不気味な葛藤に苦しんでいる」というテーマを究極の形で作品化したもので,光文社古典新訳文庫から新訳も出ています。
「環境の動物」からは4編が選ばれています。
後期の作品になると,上巻に収録された作品に比べて,あえてあっと驚くような結幕が影を潜めています。
作者の円熟した境地なのか「他者に対する思いやり」や「親切心」といったものを描くことに主をおいているように感じられます。
なかでも「サナトリウム」は,作者自身が肺結核でサナトリウムに入院していたときの人間観察をもとに書かれたもので,まさにトーマスマンの「魔の山」を思い出させますが,作者の視線はとても優しく穏やかです。
名作文学(笑)シリーズ アリ&キリギリス
もうとにかく福山さんのテンションが高い高い!
某世紀末バンドボーカリストを思わせるようなノリ(ダジャレ付)で攻めてきたと思ったら、
逆にアリとかにコケにされ、卑屈になるときも罵倒するときもやっぱりテンション高め。
擬音もたまに自分で言ったりして、終始おちゃらけたキリギリス(桐谷)を熱演しています。
福山さんのドMな演技が好きな方には「本編 TAKE2」、
たたみかけるようなハイテンションの演技を聞きたいときは、「偉人編 〜ゴッホの場合〜」がお勧めです。
特に「テ〜オ〜(泣)」と泣きついてきた後のイッちゃった感じの独白は必聴です。
そして、このCDのもう一つの聴き所。
黒い日野さん(笑)。
基本的には真面目なアリ(有野)をはまり役で演じてますが、
「本編 TAKE2」と「本編 TAKE3」では、方向性の違う「黒さ」を演じ分けています。
どれ程ドSでどれ程ヤンデレ?なのかは、是非CDを聴いて確かめて下さい(笑)。
ただし、今回は
「歌は上手いがダメ人間のキリギリスと地味だがしっかり者のアリの友情物語」
を基本に据えているので、後味はそれ程悪くないです。
あと、隠れた聴き所としては、「プロポーズ編」のキリギリス・アリそれぞれのプロポーズの台詞でしょうか。
遊び人・真面目という今回の役柄からはみ出さないながらも、甘く又は真摯に口説いてくるので、
その部分だけ自分に語りかけてるものと思って聴く・・・という楽しみ方もできるかも知れません(笑)。
ちなみに、寺島さんは今回で本シリーズ二度目の出演を果たしています。
営業マンやマネージャー等、少年やイケメンとはまた違う役柄でいい味出しています。
残念な点は、初聴きの人には「バンド編」が中だるみに聞こえることでしょうか。
(実際に本編より長く、再生時間は12分あります。)
過去語りとバンド勧誘部分をもう少し短くすれば、
他のTRACKにあるスピーディーな感じから目立って浮くこともなかったと思われるので、
その点を勘案して星一つ減点させて頂いてます。
しかし、全体的には福山さんのお陰(笑)でテンションの高い1枚に仕上がっているので、
声優ファンと腐表現なしの掛け合いを楽しみたい方にはお勧めの一品だと思います。
きりぎりす (新潮文庫)
なかでも、
夫婦愛を優しく深く見つめた『皮膚と心』は大・大・大好き!
『ぷつッと、ひとつ小豆粒に似た吹き出物が・・・』
という冒頭の1行目から、いきなりズルリと作品世界に引きずりこまれる。
夫と吹き出物が治った妻が並んで通りを歩くラストでは、
夫婦のユーモラスな会話にフフフと笑いながら、
胸にジーンと熱いものがこみ上げて、
ワッと泣き出してしまいたいような気持ちになった。
1作品、1作品、大切に読みたい名短編揃い。
太宰治の人間描写の素晴らしさを改めて実感した1冊。