芋虫 (BEAM COMIX)
乱歩の原作は若いときに繰り返し読んだ。両手、両足、声を失って戻ってきた傷病兵の夫を、妻が哀れむよりも「いたぶる」小説であることは良く覚えているが、これは丸尾氏自身の脚色による、丸尾版「芋虫」である。
乱歩の原作は時代も時代であり、直接的なセックス描写はされておらず、読者の想像力に任されていたと記憶するが、丸尾版はまさに、そのものずばりで、性的に夫をなぶり者にする。
最近、寺島しのぶがベルリン映画祭で「キャタピラー」なる映画で最優秀女優賞をとったが、映画は乱歩の原作ではなく丸尾版を下地にしたものと思われる。
丸尾版の「芋虫」に期待はしていたが、読後感は後味がよくない。
無惨絵 新英名二十八衆句 (ビームコミックス)
この作品集がずっと欲しかったので、再度リリースされたことは非常に嬉しい。
実在の有名人ばかりが取り上げられているものかと思ったら、物語の登場人物など、架空の人物も多く、ちょっとそこは期待はずれでしたが。
実在の人物を描いた作品を通して、近代の猟奇犯罪史みたいなものを一望できる感じはありますね。圧巻はやはり丸尾末広による「甘粕正彦」でした。
ポスターにも出来る、というウリで大判本になっていますが、そんなに細かい描き込みがあるわけでもないので、普及版として小さいサイズの物が1500円とか1800円程度であれば良いと思います。やはり4000円では買うのに躊躇するので。そういう意味をこめて星を一つ減らしました。
ライチ☆光クラブ (f×COMICS)
原作はアノ東京グランギニョルの作品の一つ。
やはりアノ独特の演出でエログロの美学を堪能できます。
ヒトよりも美しく、ヒトよりも生々しい、お人形の様な雰囲気のキャラ造形もグランギニョル的。
中学生の時分に、その時期特有の潔癖さと繊細さを内に押し込み、そのまま大人になってしまった人は読んでてズキリと来るかも。
読者のコアに直接触れて揺さぶって仕舞い込んでいたものを引き摺り出して、掻き混ぜる。
狂気と愚かさと純粋さと優しさをインクと一緒に紙に染み込んだ様な物語を、最後までズキリズキリと読んで、ラストの美しさに溜め息を吐いたところで、大人になってゆくカノンに思いを馳せたり。
幕が下りれば、あの廃墟の帝国はもうないのだと思い知らされ、それでも記憶の片隅に焼き付いているのだろうと思います。
読者も、カノンも。
残酷描写については肉感的ではありませんが、そこがまたグロテスク。
耽美趣味も含めて万人ウケするものではないので本来星三ツ半くらいでしょうが、個人的な評価が勝り星五ツ。
ただ、雑誌に掲載されてた楽屋落ち的な漫画も収録してくれればもっと良かったかな……。
余韻を大切にしたかったのかもしれませんが。
瓶詰の地獄 (ビームコミックス)
ぐうの音も出ません。圧巻の画力。私自身の感想としては、著者の作品のなかで一番に好きです。スカトロや残酷な描写が少ないので、入門には向いていると思います。どれをとっても素晴らしい作品。
灼眼のシャナ Assorted Shana Vol.III
灼眼のシャナのドラマCD第三弾!ベルヘルミナとシャナによる曲、二つにドラマが二つ。「02.ドラマ「索敵メロンパン」」はベルヘルミナがごみ袋と間違えて捨てたスーパー袋の中に入っていたシャナの大好物のメロンパン捨てて怒ったシャナ・・ それが影響でベルヘルミナが裕二とシャナ好きのメロンパンを買いに修行・・。