片想い (文春文庫)
よく調べているし、小説としても文句なしに面白い。
メビウスの輪のたとえも秀逸。
全体のテーマとしては、タイトルどおり、性同一性障害にとどまらず、自分とは違う他者に気持ちの伝わらないせつなさと、伝わる喜び、みたいな感じかな。
最後の解説のところには、「この小説は未来を予見したかのような」みたいなことが書いてあったが、私の感想はちょっと違った。
トランス界のアングラ感、全体に流れるトランスジェンダリズム思想、戸籍への絶望感みたいなのは、この小説の書かれた、1998,9年頃の時代状況を見事に反映している。
数年前のことに過ぎないが、遠い昔になった、あの頃、という感じ。
未来というより、なんだか懐かしかった。
今の時代背景だと、この小説はちょっと書くのが難しかったかも。
解離性障害―「うしろに誰かいる」の精神病理 (ちくま新書)
解離の勉強をするのに,本を探していて,まずは安い新書からと思い,ためらいなく買って読んでみた.解離性障害というと,健忘や遁走,同一性障害,離人症性障害などDSMに沿った形での解説書が多く見られるが,実際臨床で出会うのはこうした典型的な病態の患者ではなく,特定不能に含まれるような症状を示すことが多いと言われている.本書は,診断カテゴリの解説ではなく,解離そのものの現象について分かりやすく綴ってあるので,解離についての基本的な現象を知る上で有用である.また,最終章には治療的接近についても書いてあり,それも役に立った.
Lの世界 シーズン3 DVDコレクターズBOX
海外の同性愛をテーマにはしているが
普通の男女の中で起こる恋愛でのトラブルと変わらないと思いました。
同性愛と言う偏見を取り払って見てください。
私は映画フラッシュダンスのジェニファー・ビールスが好きで
このドラマを見るきっかけになりましたが
他のキャストの演技も素晴らしいと思います。
シェーン役のキャサリン・メーニッヒの描写の細かい演技は見逃せません。
ボーイズ・ドント・クライ [DVD]
本当に普通の毎日に違いなかった。
ブランドンは、女性でありながら女性としての自分を受け入れられず、男性として振る舞う性同一性障害者。手探りで恋を探している毎日は、楽しくはあるけれど、どこか絵空事に似ていた。
そんな中、一人の女性ラナと出会う。彼女は彼女で、自分の虚しい日常にうんざりしていた。恋におちる二人。しかし回り始めた運命の歯車は、きれいには回ってくれず、リアルな現実とぶつかり……。残酷な結末が待ち構えている。
痛いけれど、心に残るノンフィクションです。そして、ラストは少しだけ救いようもありました。