大震災の後で人生について語るということ
私たちにできることは、個人のリスクを国家のリスクから切り離すことです。
著者の橘氏は、3・11の大災害により「ほとんどのひとが経済的な選択肢などもっていない」ということが明らかになった、といいます。既得権の保護と現状維持の圧力の中、制度的に持続不可能な社会保障の制度はいずれ破たんしてしまうでしょう。このままでは、既に頼りにならない日本という国とともに心中することになりかねません。
本書の内容は、著者の既刊である「知的幸福の技術」、「貧乏はお金持ち」や「残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法」で語られていることがほとんどです。しかし、著者がいうように、3・11という圧倒的な現実の前に、今までは単なる「絵空事」でしかなかった「経済的な独立」、「伽藍からバザールへ」という生き方が、待ったなしの問題として僕たちに突きつけらます。
橘氏は、「私はこれまで、「社会を変える」ことについては意識的に言及を避けてきた」にも関わらず、今回自分の見解を述べたのは「これが日本にとって最後の機会だからです」と述べています(「おわりに」より)。戦後社会の構造に最適化された日本の仕組みを解体し、既得権者が少しずつそれを手放して、被災者や老人、若者などの「弱者」と分け合う社会の構築に向かうことが理想でしょう。
ただし、民主主義の悲しさ、それはほとんど不可能です。本書には、国家や会社に依存しない、経済的に独立した生き方のヒントが詰まっています。日本という国が構造的な破滅への歩みを修正することを祈りつつ、自らと家族の生活は自らで守る。そうした気概をもって生きていく。そのためには、僕たち一人一人が一歩を踏み出す必要があります。あの震災のリスクを肌で感じた方、みんなに一読をお勧めします。
貧乏はお金持ち──「雇われない生き方」で格差社会を逆転する (講談社プラスアルファ文庫)
マイクロ法人をキーワードとして、会計、税務、ファイナ
ンスの基礎知識を説明する書。
日本の社会制度は、サラリーマンにたかり、自営業者や農
業従事者などの「弱者」に有利なように作れらていること
から、サラリーマンがこの制度の恩恵を受ける方法を説き
ます。なぜなら、アメリカのオーガニゼーション・マンが
30年前に絶滅したように、“サラリーマン”は絶滅しつつ
ある生き方であり、エデンの園から追い出される事態に備
えなければいけないと。
まず、最近はよく見る視点ではあるが、著者の現状認識は
特徴的。労働組合員(公務員や大企業の従業員)こそ格差
社会の勝ち組であるとの事実は都合悪いので、議論の混迷
は続いている。でも、ガンの治療法がたくさん存在するの
と同様、格差社会を是正すると称する処方箋が溢れている
のは、原理的に解決不可能だからではないかと。
そして、順々に、マイクロ法人としての基礎知識が解説さ
れていきます。個々の知識も面白い(ここまで自営業者が
有利とは・・・)が、それ以上に、著者の認識が独特。
「自由とは人生を選択できる経済的な土台のこと」
「リスクを取る以上、徹底してリアルでなければ夢を実現することなどできない」
「国に依存するな。国の仕組みを観察し、理解し、道具として利用しよう」
著者も言うように、本書には、「お金稼ぐ方法」だけは載
っていませんから、自分で作り出さなければいけません。
そして、ほとんどのサラリーマンにとって、法人化は現時
点では不可能なので、本書の知識はいつかの為にしか使え
ません。
それでも、大事な心構えを再認識させてくれる本です。
「自分の人生を自分で選ぼう」
世界にひとつしかない「黄金の人生設計」
橘氏の本はこれが一冊目です。
海外投資を楽しむ会のホームページで知り、とりあえず注文してみました。
独特の語り口は鋭くて、かつ、笑えます。
しかしながら、著者の切り口はまっとうで、現実が過激だったのねという印象をうけました。
無知は最大の罪といいますが、知らなければいけなかったことがここにたくさん
詰まっています。これ以上、無知でいてはいけないと気持ちを奮い立たされました。
ここ、10年ほどのうちに、友人、知人がせっせと若いうちから住宅購入だ、生命保険だ、
結婚、出産だと「着実に」まともな人生を築いていくのを見聞きしていましたが、
ここ数年は、景気の停滞や住宅ローン、離婚の危機、子供の教育費用云々などで
まるで人生反転したかのような人々を多くみるようになりました。
この本を読んで、なんでそういう人がここのところ続出しているのか理解しました。
個人的には、不動産購入、生命保険というのはまるで関心がなく、運と縁あって、海外で生活
をすることになり、もし、大きな資産を日本で購入していたらこうは暮らしていなかった
だろうと思い当たりました。安定、安心を求めるのは人の常ですが、よくよく
知識をつけてからよい決断をしないと、それがかえって手かせ足枷となり、身動きの
とれないまま不本意に人生を終える状況へと自分をおとしいれてしまう・・・
安定、安心というもの自体、実は幻のようで、自己責任で人生を生きていくよう
腹をくくる覚悟をうながす本でした。素晴らしいの一言。
日本だけがなにも危機的状態にあるのではないと思いますが、この本を読んで、
今いる国の現実と比べても、あきらかに日本では先進国の国民として持つべき
権利を勝ち取ってきていないと思いました。
なによりも肝心なのはまずは「知る」ことだと痛感しました。
日本は大切な祖国です。離れてはいても、みんな幸せに無事で暮らして欲しいと思いました。
著者のジャーナリスト魂というか、良心と情熱に敬意を表します。
数年が経っていますが、それでも尚、読んでおかれることを強くお勧めします。
黄金の扉を開ける賢者の海外投資術 (講談社+α文庫)
第一章「究極の投資vs至高の投資」が出色。ここで著者はサラリーマンの究極の投資法を具体的に伝授している。それはどう考えても非常識なものであり、おそらく日本の証券会社やファイナンシャル・プランナーは誰も薦めない方法だ。しかし本書を読むととても説得力があり、かつ最も合理的な投資方法に思えてしまう。
ということで早速彼のお勧めを実行してしまった。果たして吉と出るか凶と出るか、それは今すぐにはわからない。でも確信ができて気持ちが楽になったのは確か。