金田一少年の事件簿 VOL.4 [DVD]
収録されてる二話は、いずれもトリック推理よりはアクション・アドベンチャーに重点を置いた作りになっている。
「速水〜」はやや急テンポ過ぎの感はいなめないものの、はじめが走るは跳ぶは泳ぐはの獅子奮迅の活躍を見せる。
「魔犬〜」は廃墟で起こる殺人事件に凶犬の群れが襲いかかるという、一風変わった設定がユニーク。
迫りくる野犬と薄暗い映像がマッチして映画のような迫力を作り出している。
予算の多さがうかがえる作品だ。
まじかるストロベリィ 9 (ジェッツコミックス)
掲載誌が隔週と月一の拡大号とたまの増刊号、しかも4コマだから、もとより話がスイスイ進
むはずもないのだが、それを差し引いても、「まじスト」の世界は極端にのんびりしている。
この巻で前坊とスージー、それぞれの決着がつくが、初登場から3年以上かかった。光太と
日夏の関係は更に進まず、行動派の毬望をスパイスとして投入してから2年かかって今年の
春に一歩進んだ(おそらく次巻に掲載されるだろう)。能動的に動いてくれるキャラクターは
主人公のいちこだけ、しかもボケっぱなしなので、話はゆっくり、まったりと、熟成されて
出来上がっていく。
しかし、それが歯がゆかったり、イライラしたりすることはなく、ゆるやかであたたかい世界
は、世の中の喧噪を和らげてくれる。このマンガを読んでいるときはエアポケットに入ったよ
うに穏やかな気持ちになれる。先述の通り、ワクワクしながら読破する類のマンガではない。
だが、これぐらい穏やかな物語でも、いや、穏やかだからこそ、今の時代に必要とされている
マンガだと思う。もっともっと、評価されてもいい。「笑い」と「癒し」と「哲学」を乗せて
かつ日常をほほえましく見つめる作者の力は見事だ。爆発的な人気でなくても、たくさんの人
の手で支えられながら、長く続いて欲しい作品である。
と書いてすぐ、連載がクライマックスに突入した模様。本当に終わってしまうのか?物語が動いた
宿命なのか?不安と期待の中にいる2009年5月初旬である。
2009年6月12日発売ヤングアニマル12号にて「まじかるストロベリィ」は連載を終えた。
希望的でも絶望的でもなくクロージングは”幸せな結末”だった。3人のベリーたちも光太と
ヒナをはじめとするみんなも、それぞれちゃんと「実」をつけた。人前だったので、買って帰
って、家でちょっと泣いた。7月29日に最終巻・10巻が出ると告知があった。また、その
時、思いを新たにするんだろう。「この最終回を書くために今まで続けてきた」(11号巻末
より)まつもと先生、お疲れ様でした、そして、ありがとうございました。また新たなご活躍
をお祈り申し上げます。
キミとおやすみ 1 (ジェッツコミックス)
予知夢能力者みっこと、その同棲相手まこちゃん(ともに小学校教諭)を主人公に据えて、マッタリと繰り広げられる4コマコメディです。
途中からテコ入れ要員「ちびっ子天才少女(from USA…ベッキー?)」が同居しますが、あんまりテコ入れになっていません。
はっきり言って、サブキャラ陣の方が遥かにキャラ立ちがしっかりしています。
特に、年齢不詳のキャリアウーマン教頭(一見クールビューティーですが、校長に片思いの隠れ乙女)、イタリア人になることを目指す学年主任(けどイタリアには行ったことがない)、生徒の川上さん(控えめで大人しそうなのに突き刺さる言動を発する)、の三人。
この三人の誰かに主人公チェンジすれば格段に面白くなるのになと思ってしまいます。
今のところは、詰めが甘い惜しい作品どまりです。次巻以降に期待します。
金田一少年の事件簿 VOL.5 [DVD]
#8「露西亜人形殺人事件」、#9「同(完結編)」を収録。キャストは松本潤(金田一一)、鈴木杏(七瀬美雪)、内藤剛志(剣持勇)、高遠遙一(藤井尚之)他。
視聴率的には、2クール続いた堂本剛・ともさかりえ版には及ばず、1クールで終了となったこのシリーズ。よって多分これが実写版・金田一少年の事件簿のラストになると思われる。
莫大な遺産を残して病死した人気作家:山之内恒聖の遺言により、湖に浮かぶ露西亜館にて、推理ゲームが行われる。しかし閉ざされた館の中で連続殺人が起き、相続候補者が一人また一人消えていく、という物語。小説「そして誰も居なくなった」の密室版といったところだ。
前シリーズがかなりの人気だったため、予算はたっぷり取られているようで、とにかくセットが豪華。特殊撮影も気合いが入っている。更に出演者も有名人がずらり。
今回の見所は、何と言っても宿敵:高遠遙一と金田一の対決である。殺人芸術家を名乗り、何度も金田一を欺いてきた「もう一人の天才」高遠だが、今回は珍しく金田一が完全勝利を飾るストーリーになっている。
人間の「裏の顔」をえぐり出そうとする高遠に、食い下がる金田一。犯人を血祭りに上げると言い放つ高遠を、一歩リードして真相を掴んだ金田一は、宿敵:高遠と話を付け、犯人を相手に大芝居を打つのである。
犯人に昔の自分を見た高遠は、主義に反して、犯人に危害を加えることなく去って行く。
切れ者であるという設定の高遠遙一ゆえ、ゆっくりした藤井尚之のトークはいまいち迫力不足だが、ワルっぽい松本潤のNEW金田一に合ったストーリーではあった。
撮影の殆どが屋内だったので、鈴木杏の美雪の、可愛らしさを演出する場面がなく、ファンはちょっと不満かも。
あと、メイド役の橘 実里ちゃんも、がんばってます。実は秘かにファンで、彼女目当てにDVDを買ってたりして(苦笑)。
♂30代の戯れ言でした。
P.S. ロリコンじゃないよっ!ホントだってば。 でも吉野紗香は好きだなー(自爆)。
野菜畑でつかまえて (1) (まんがタイムコミックス)
本作はさえない田舎のさえない農家(桃次郎談)の日常を描いたコメディ。
一応主人公らしき櫛灘桃次郎は農家の息子。男の中の男、不良の中の不良になるのを夢見ても、周りがのどかなせいで空回り。結局良い農家の兄ちゃんに留まってしまいます。そんな彼には、親の決めた許嫁・此花さくら(表紙の女の子)がいた。勝手に決められた結婚に反発する桃次郎だが、農家のお嫁さんになるため畑仕事に頑張るさくらのほよよんさに、やっぱり空回り。
……って、いつの漫画の設定じゃーっ!
なんて古さというより懐かしさを感じさせる本作。登場人物がみんな良い人で、都会生活に疲れたらこんな場所で暮らしたいなぁと思わせてくれます。
特にさくらの妹の小姫ちゃんは、ツッコミのあまりのかわいらしさ、方向の明後日ぶりについ顔がほころびてしまいます。きっと将来は素敵なクリキントンになるでしょう。
顔のパーツ(特に口)が中心からちょっとずれた人物の描き方は独特で、人によっては苦笑いするでしょうが、読んでいくにつれ、この顔形がなんともいえない味を出してきます。あまりにも整いすぎる顔だとかえって面白みがないのと逆ですね。
日常系らしく、事件らしい事件も起こりません。桃次郎の目指せ不良設定も時々思い出したように語られるものの、それ以上に野菜に詳しい好青年として描写されるため、後半になると無理矢理感が大きくなります。個人的にはこのネタ、もう少し使っても良かったのではと思いますが。
しかし、その程度事は気にならないくらいの心地よい空気がこの作品にはあります。野菜のように甘く、体に良い空気に浸るのも良いでしょう。