ソング・フォー・ユー~ラヴ・ソングス・オン・チェロ2
厚みのあるチェロの音がまずいいと思います。
クラシックの奏者がポップスを弾いてヒットさせることは珍しくなく
実力より曲の耳なじみで売ってしまうことはよくありますが、この
場合はそうではなくて、クラシックを弾きこんできたのだけれど
自分が好きな曲を、さらに弾いている、という感触です。
東京都交響楽団の主席チェリストとしても活躍している方ですが
大変都会的なセンスを持っている演奏家だと思います。
選曲もスタンダードの名曲がずらりと並び、イージーリスニングとして
聴くというよりは、手練れによるポピュラー・コンサートを楽しむ感じで
聴くと、肩の力が抜けて、こちらも楽しいと思います。
幸福論 (岩波文庫)
ラッセルの幸福論は、あくまで理性による精神分析という手法が主でした。
すなわち、心をそれ自体として扱い、そして不安と幸福のための心の働かせ方を論じたのです。
一方でアランの幸福論というのは、身体と心の繋がり及び、礼儀というものを重視しています。
つまりアランは心を身体との連携において考えていたのですね。
これは二者を分ける重要な方向性の違いですので、参考にしていただけると幸いです。
本書の構成はプロポと言う3ページ一区切りの独特な文章が多数集まって構成されてます。
語彙は簡単で一見読みやすそうですが、論理の展開が不明瞭で苦労しましたね。
詩的とでもいいましょうか。「この世で最も美しい本」と語る方もいらっしゃいますし。
ただ、僕としてはラッセルのほうが実用的で好ましく思われました。結局は読む人の好みだと思います。
ファイヴ / 新・神話組曲
シンフォニーXのアルバムは全て持っていますが、自分はこのアルバムが一番好きで良く聴いています。 特に1曲目から2曲目の流れは最高。2曲目のサビのコーラスなんかは一緒にHere we areって歌ってしまう程に素晴らしい!!某雑誌や口コミでは、彼等の曲は作品を追う毎に徐々にメロディが薄いと言うが、自分はこのアルバムはメロディ的にも素晴らしいポテンシャルだと思います。マイク・ピネーラのキーボードからオーケストレーションサウンドが溢れています。実際のオーケストラの生音を使わずとも、ここまで表現出来るのも素晴らしい!!全体的に前作と比べると、音質がヘヴィになってますね(良いね)。
幸福論 (集英社文庫)
訳本なので細かい所は分かりにくかったりしますが、そんなに難しい事は書いてありません。
古いものでは100年以上前に書かれたものもありますが、同じ人間として理解できるものばかりです。
1つの話が2,3ページなので、時間がない時でも読みやすいです。
考え込むより行動する事、あくびや体操の重要性が書かれています。
他の方のレビューにもあるように、中学生でも読める(できれば高校生以上)、読んで損なしの名著です。
ママが泣いた日 [DVD]
家族の再生の物語、と銘打つのは少し違う気もしますが、
絆を取り戻す物語ではなく新たに結んでいく、その可能性を示す結末だと感じました。
ママ、こと主人公のテリーの心情が本当に切実でリアルなものに思え、
見ていて何度も胸が苦しくなりました。
夫を失ったことによる“女性”性の自信の喪失、そこから崩れていく彼女の姿は
同性として痛いほどに感情移入してしまいましたし、一見狂っているとしか思えないような言動も嫌悪よりむしろ、“ああ、わかるなあ”と思えるようなものでした。
そしてその母親を嫌悪する姉妹達の気持ちもよく理解できます。
夫が出て行ったという現実を受け止めきれずに酒に溺れ、娘やテリーに対し、自分に共感(あるいは同情)しないとなると異常とも思えるくらい攻撃的になる彼女。
自分の思いを直接口にしようとしないで、相手が思いを汲むのが当たり前に思っているような台詞もありました。それは持ち前のプライドから来るもの、現実を認めたくないという逃避もあると思います。娘達が嫌悪するのは多分そういった部分なんでしょう。
だからこそ、劇中デニーが面と向かって言った、「思っていることはそのまま言いなよ」
という台詞がすごく際立って見えました。
テリーと彼女に好意を寄せるデニー、ふたりのキャラクターが非常に良く作られてます。
観たのは字幕でしたが彼女の感情がよく伝わってくる台詞ばかりで、そしてそこがまた巧いんですよね。
大きなドラマではありませんが、細やかな感情の動きを描くような物語がお好きな方なら楽しめるお話だと思います。
ただ、未消化の部分もあるので(娘達の事柄等)ちょっと減点はしましたが大局的にはこれで良かったのかな、という感じです。