家栽の人 (8) (小学館文庫)
「エノココログサ」私たちが「猫じゃらし」と呼ぶ草。少年の家族には痴呆の祖父がいた。ギスギスしたうちだった。桑田とであった少年は、「不思議なおじさん」の所に行った。このまま悪戯ばかりしていると4~5年で死ぬぞと言われてしまった。桑田とおじさんでおまじないを授けられた少年は、家に帰る。おまじないの効果はいかに?
「カサブランカ」連続5編の長期シリーズですが、最後泣ける話です。「真の純潔をしめす本当の百合は「マドンナ・リリー」。
うちを出、売春で生計を立てている少女。彼女にふさわしいのは「カサブランカ」ではなく、本当は「マドンナ・リリー」であると。
はしが上手く使えない自分とひろった男の子にめがねのおじさんからはしの使い方を教わった少女。
そして、審判のときの信じられないような贈り物。
いい話です。絶品です。
桑田判事は春河を去って、次の任官地におもむく。桑田判事がいなくなって、所員の胸に残るものは・・・
次巻から新シリーズです。楽しみに待ちましょう。
家栽の人 (1) (小学館文庫)
毎回、そこにでてくる(あるいは象徴的な)植物をタイトルにし、家庭裁判所の桑田判事と家裁調査員たちの日々を描く佳品の第1巻。
印象的だったのは、「ポインセチア」と「マルハチ」「サボテン」の3話です。
子供の純真さが大人の身勝手を裁く、「ポインセチア」。
廃屋ビルの敷地の片隅に不思議な木が植えられていた。このビルをアジトにしていた不良少年たちの中に、その木がなんなのか調べた少年がいた。名は、「マルハチ」。小笠原諸島にのみ生息するという。なぜ-?
という話、「マルハチ」。
不良少年たちの心は、ただすさんだりしているわけではないんです。いい話です。
傷害致死事件の被告人は投げやりで、検事側からは求刑6年。でも被告人には法廷で口にできない秘密があった-「サボテン」。とにかく読んでみて下さい。
そのほかの話も胸を打ちます。お薦めです。
家栽の人 (10) (小学館文庫)
「家栽の人」の末尾を飾る、9巻からの連作シリーズ第10巻。
格闘技場に放火したのは自分だと勇気を出して法定で証言する、優等生の川上君。この審判、寺尾親子側が勝ったかにみえたが、英(はなぶさ)弁護士の策略により、寺尾君は法定で混乱する。
また「不良」の方に振り子はゆれ、14歳になった寺尾君は傷害事件を起こし、家裁に送られる。
これで学校側が勝ったに見えたが、誰も想像しなかった証言が想像もしなかった人物から発せられる。
審判の行方は、そして寺尾君は・・・
そして、今日も桑田判事は家裁で心の種を育てています。
少年の凶悪犯罪が増え続ける現在に、6年前に連載が終わったこの本は、どんな問いかけを社会にしめすのでしょうか?
全10巻、ぜひ読んでみて下さい。
家栽の人 (1) (ビッグコミックス)
裁判員制度が導入され、また冤罪事件もあり、今まで以上に裁判について考える機会が増えました。そこで裁判所の内側の様子を知るのに小説などよりこの漫画はとても楽しめながら参考になります。裁判官と被疑者はもちろん、検事や弁護士そしてその家族など。一番メインに登場する家庭裁判所調査官という役職をこれまで知りませんでした。ほぼすべて裁判(と植物)に関連した内容なのですが、人生を送る上での問題やヒントがたくさんあり何度も読み返しています。
家栽の人 (2) (小学館文庫)
植物を愛し、人を愛する桑田判事の話、第2巻。
私が特に印象に残ったのが、「カリン」「スミレ」「リンドウ」の3話です。
兄が検事で弟が弁護士の相続争い-「カリン」。弁護士の父の死の後、なぜか弟は残された家の「襖」の相続権を主張した。自分より裕福な弁護士の弟が、このような主張をするのが兄にはわからない。桑田判事が謎に挑む。
何故桑田判事は有能で、東京からの勧誘もあるのにそれを拒み続けるのか、新任の所長浜口は理解できない。謎は、スミレに隠されていた-「スミレ」。桑田判事の哲学がわかります。
そして、ラーメン屋で傷害事件を起こした少年は、その日、なぜか「背広」を着ていた。ねばり強い調査で真実を審理する「リンドウ」。
他にも読み応え満点の話が目白おし。お薦め第2巻です。