金環蝕 [DVD]
山本薩夫監督の政界金権腐敗体質を暴く快作です。
過去ビデオで初めて見た時に「こりゃ面白いっ!!!」と
親にも見るように薦めたのを思い出しました。
今回DVDを購入し、改めて再見して思うことは、
昔も今も政界の体質って基本的に変わらないんじゃないだろうか、
ってことです・・・。
最後はマルサの女2と同じく、ちょっとやるせない
現実を感じさせる終わり方かも?
ストーリーはスケールが大きく、俳優陣も実に豪華。
政界のマッチポンプ役の三国連太郎のダム入札疑惑についての
証人喚問シーンはケレン味たっぷりの演技で見所の一つでしょう。
青春の蹉跌 [VHS]
萩原健一演じる主人公が桃井かおりの女子大生を殺す。理由は自分の野望の障壁となるからである。
(妊娠した女子大生は主人公に結婚を迫る。しかし彼には資産家の令嬢との縁談があった…)
実在の事件がモデルで、女子大生のお腹の子供が被告のものではなかったことから男に同情が集まり、被害者には非難が浴びせられた。
映画版の方では萩原が計算高い野心家で、男が悪いようにしかみえない。
生きている兵隊 (中公文庫)
中国人を虫けらのように殺害する衝撃的なエピソードから物語りは幕を開ける。
いかに日本人がアジアの人々に残虐であったかが分かることもさることながら、芥川賞受賞の著者のたぐいまれな表現力に舌を巻きます。
戦場でありながら、風に揺れる花々、沈む夕陽、満点の星々・・・自然が息づいている表現は素晴らしかったです。
そして心が狂っていく兵士たちの心情の描き方も。
だが日本は戦争被害者であるが加害者であったことを決して忘れてはならないと思わせるような作品です。
蒼氓 (新潮文庫)
『蒼氓』ですが、そうぼう、って意味の分かる現代人はいるのでしょうか?私は分からなかったので辞書で調べました。「もろもろの民、すべての人民」という意味だそうです。
内容にぴったりのタイトルです。
表題作を含め連作三編が収録されています。物語の舞台となるのは1930年のブラジル移民船ら・ぷらた丸です。作者の石川達三自身、「助監督」として実際にら・ぷらた丸に乗り組んでいたそうです。作中にも「助監督」なる人物が登場し、色々活躍(?)します。そこに注目して読むのも一つの楽しみ方かもしれません。しかし主人公はあくまでも、移民船に乗る人々、つまり蒼氓です。
戦前の作品ということになりますが、現代人が読んで読み難いということはありません。文中、これといって難解な語も出てきません。むしろタイトルが一番難しいです。
話の内容は、移民の人々のリアルな姿。故郷を捨て不安を抱きながらも力強く生き抜こうとする姿勢は崩さぬ、不器用ではあるが純朴な蒼氓の生き様です。
第一回芥川賞受賞作という肩書きと、難しいタイトルと、かなり昔の作品であるということで、手を出しにくいと思われがちかもしれませんが、そんなことはありません。普通に読めて普通に面白い小説です。