RIVER LIGHT 極 フライパン 26cm 12K26
鉄フライパンの味が良いのは知っていても、「錆び」の手入れの面倒さのために、
仕方なくテフロンを使っている方も多いと思います。
この商品は、表面を窒化鉄加工によって錆びなくしてあるため、
手入れ無用の鉄です。水を張ったまま一晩おいても錆びません。
なのに料理の味は鉄でのおいしさそのまま。まさに鉄の美味しいところ取り。
とはいえ鉄であることには違いないため、
テフロンのような感覚では使えません。鉄の特性を理解しないと焦げ付きます。
たんぱく質が金属と結合する温度は80℃(結合するには水が必要。)
たんぱく質が変性して焦げ付く温度は200℃
焦げ付かせないためには、これらの温度にしないことが大事らしいです。
1.フライパンをまず熱して煙が出る程度(200℃)
ここまで温度を上げてフライパン表面の"吸着水"を揮発させます。
80℃でくっつくのは吸着水のせいです。
吸着水が完全に蒸発するのは250℃だそうなので、
くっつきやすい料理ならここでカンカンに過熱しておきます。
2. まわし油をして調理温度まで下げます(120℃〜180℃)
油は加熱すると酸化して劣化します。
大量の油ならそのまま調理に使っても構いませんが、
少量だと油が高温で酸化して油膜の役目を果たさないし、パンの温度も下がらず
後々くっつく原因になります。
その場合は面倒でも回し油をした後に改めて調理用の油を入れます。
3. 食材を入れるとさらに温度が下がりますから、80℃以下にしないように火加減調整。
どうしても80℃や200℃になってしまう場合は、菜箸で結合しないように攪拌します。
炎の中華料理人さんがやたらダイナミックに鍋を振っているのも同じ理由。
4. 食材から水が出たり、水を加えると100℃以下になってしまうため、
くっつきはじめる80℃に温度低下する前に、強火で一気に通り抜けます。
だから、まず肉を常温に戻しなさい、とか、焼きそばや餃子でお湯を入れなさい、
と言われているのです。
この知識だけで、私は鉄パンでのくっつきとは無縁になりました。
昔は強火・弱火で何分な乱暴な感覚だけで調理していましたが、
今は温度を見ての火加減調整のコツが若干わかったような気がしています。
餃子も焼きそばも目玉焼きも、面白いようにはがれてくれます。
もう可愛いのなんの。
テフロンのように皮膜を傷つけないように配慮する必要も無用。
金属へらでガシガシしても全然平気。
チャーハンだけは一時悩んでいたのですが、飯をガス炊きにしたら
パラパラになりました。道具って大事ですね。そして使う側の知識も。
テフロンは強力な断熱材でもあるので、なかなか火の通りが悪いです。
対して、鉄はダイレクトにガツンと食材に火が通るため、炒め物の味が劇的に違います。
そのためテフロンに慣れた感覚で鉄パンを使うと、当初は火が通り過ぎてしまうでしょう。
私も最初は戸惑いましたが、徐々に慣れていきました。調理時間は極端に短くなります。
鉄フライパンの後片付けは、テフロンよりも全然簡単です。
コツは調理後水につけたりせずに、使ったその場で流水で洗うこと。
ナイロンブラシや金だわしで軽く擦るだけで、
頑固な焦げ付きも綺麗に落ちます。水を切ってそのまま放置して終わり。
洗剤は匂いがきつい料理のときにたまに使う程度です。
(テフロンは、くっつかないためには、使用後洗剤で
汚れや水道水内部の残留無機物を丁寧に落とす必要があるらしいです。
正しい手入れは意外に大変です。)
使い込んでいくと、鉄パンとの付き合い方がわかってきます。
温度もなんとなく把握できるようになってきます。
自分の手足というか、相棒のように育っていく感覚がいいですね。
これも使い捨てのテフロンとは違う点だと思います。
鉄厚1.6mmと薄手なので、熱伝導性が高く火加減がダイレクトに反映します。
この反応の良さのため、微調整がとてもしやすいです。
軽いので取り出すのも振るのも苦になりません。
鉄厚不足に感じる方には、板厚3.2mmの底広タイプの
「極ザ・オムレツ」というフライパンがあります。
私は両方所有していますが、1つのパンであれもこれもと考えるなら、
汎用性があるのはこちらの商品だと思います。
(参考)「おいしさをつくる熱の科学」佐藤秀美著
日経おとなの OFF (オフ) 2010年 01月号 [雑誌]
だんなが嬉々として購入し、「これで勉強しろ」と、渡されました。
ちょっとした料理どきの手間が、こんなに出来上がりに影響するなんて、ただ焼いたり煮たりしちゃいけないんだなんて知りませんでした(恥)!
弟夫婦にも見せたところ、弟が早速奥様に買ったようです。
写真入りの分かりやすい説明、中途半端に終わらないきっちりした編集、ありがとうございました! 保存版です。