ハイドン:弦楽四重奏曲第17番&第67番&76番&第77番
ハイドンの弦楽四重奏曲の中で知名度の高い4曲のセット。
録音は<ひばり><セレナード><五度>が1965年、<皇帝>が1976年なのでアナログ録音であるが、音質はアナログにしてはかなり良い。
演奏するイタリア四重奏団は明るい音色が持ち味なのでハイドンのこれらの曲とは相性がよく、温雅な演奏を聴かせてくれる。
CD付き NHKクラシックミステリー 名曲探偵アマデウス
「名曲探偵アマデウス」は、面白くてわかりやすいクラシックの解説番組で時折観ていました。
本書は、カラー写真と見やすい構成で、CD(フレーズのみの収録)付きの解説集です。
取り上げているのは
1.ラヴェル「ボレロ」
2.ドボルザーク「交響曲第9番(新世界から)」
3.モーツァルト「クラリネット五重奏曲」
4.ベートーベン「交響曲第9番(合唱つき)」
5.バッハ「無伴奏チェロ曲」
6.ショパン「ポロネーズ第6番(英雄)」
7.サラサーテ「ツィゴイネルワイゼン」
8.シューベルト「ピアノ五重奏曲(ます)」
9.チャイコフスキー「ピアノ協奏曲第1番」
10.ドビュッシー「月の光」
11.ホルスト「組曲(惑星)」
12.ショスターコーヴィッチ「交響曲第5番」
です。
解説者は、千住明氏、野本由紀夫氏etc。
名曲、作曲者の裏話、作曲にまつわるエピソード、演奏法、楽器解説もあり、イラスト写真等がカラフルで、私のようなクラシックにあまり造詣のない者でも楽しめるつくり。
CDは、この本を読みながらフレーズ解説を参考にする程度の物なので、単独では楽しめません。
上記の点と、CDを取りだすのに不便な構造だったので、★4にしました。
パパ/ずれてるゥ! [DVD]
☆チェコ出身の監督で、本作でアメリカ映画界に進出。チェコのヌーベルバーグの旗手の異名を持つ、アカデミー賞を受賞した大名作『アマデウス』を手掛けた、異端の秀才ミロシュ・フォルマン監督作品。愛する娘(リニア・ヒーコック)の事になると過剰なまでに神経質になる心配性の夫(バック・ヘンリー)とその妻(リン・カーリン)等が繰り広げる、抱腹絶倒&自由奔放な家族の日常生活を焦点にアメリカ合衆国の社会と文化、恥部に対しての皮肉を普遍的にコメディ・タッチで描いている。ミロシュ・フォルマン監督らしい、斬新な映像感覚も非常に優れており、シニカルな要素とコミカルな味わいが絶妙にハイブリッドされた見事な心理描写には大いに感心させられた。悪乗りなブラックユーモアや騒がしいスラップスティックな展開が控え目なのもよろしい。清潔で知的なお笑い場面もこの作品をガッチリと引き締めている。アメリカ社会という、形を拝借しながら、その習慣やカルチャーショック、複雑な制度にやんわりと、きわどく追随した滑稽なスタイルと異国情緒的なムードも大絶賛に値する面白さである。人間的な問題意識を大切した誠心誠意な趣向もたいへん有難い、スマートで、さわやかな風刺喜劇の最高傑作です!☆。
モーツァルト:フィガロの結婚 [DVD]
当代随一の歌手を集めた公演の収録。
特に、フォン・シュターデのケルビーノが上手過ぎる程である。ケルビーノのアリアはそれほど難しいアリアではないと思うが、フォン・シュターデの歌唱はこれほど情感深く歌えるものだったのか!と驚くほどの名唱で、聴衆の大喝采を浴びている。
ストレーレルの演出は特にケレン味なく、ひとつひとつ丁寧に歌わせていく。何度も演じているせいだろう、歌手たちはのびのび歌っている。例えばヤノヴィッツの伯爵夫人は、突然の伯爵の来室で扉を開けに行くシーンでは、平静を装って鼻歌を歌うなどの余裕を見せている。
脇役まで一流で、バルビエのマルチェリーナもモルのバルトロも上手い。「手紙の二重唱」の最後の部分に録音ミスで異音が入っているのがなんとも惜しい。
モーツァルト 天才の秘密 (文春新書)
2006年に生誕250周年を迎えたモーツァルトの小伝。著者の深い洞察と教養に裏打ちされた人間観・芸術観を前面に押し出した好著。このサイズの評伝としては現時点での最高傑作ではないだろうか。まあモーツァルト父子にはかなりきつい書き方になってはいるが、真の高みを知るものに手放しの礼賛など必要ないのだろう。