ON論 リーダーの器量
喝! でおなじみの??張本勲氏の著作。
張本氏は王さんと同じ歳で、第一次長嶋監督のときに日本ハムからトレードされ、長嶋の穴を見事に埋めて2度の優勝に導いた。ONの二人に選手として直に接した経験から、二人が卓越した、もう二度と顕れないような選手であったかを実際のエピソードを交えて語っている。
努力の王、天才の長嶋、の認識はマスコミが作ったもので実際には二人とも、スターになっても驚愕するほど練習していたらしい。才能もあったろうが、圧倒的な練習量がONを生み出していたという解説には勇気づけられるものがある。
アンチ長嶋の急先鋒?であるノムサンを『何も知らないくせに』といって切り捨てているのには痛快だった。
かなりの偏った意見も多いが、張本氏はONの二人と巨人で4年一緒にやっているので、ONを語る証人としてはノムサンより大分説得力があった。
男気万字固め
山城新伍、ガッツ石松、張本勲、小林亜星、さいとう・たかを、との対談集。
吉田豪、なんでこんなに詳しいんだろうって。細かい注釈もありがたい。
その著者の知識の広さも魅力の1つである対談集だが、中でも参ったのは張本勲氏の一言。
《私の人生哲学の1つに「これほどの努力を人は運と言う」、「お前、運がいいやっちゃなぁ」って言われるけど、「死ぬまで俺は努力しとるんや、それをお前ら知らんのや」、まぁ知らんでいいんですけどね。》
これをさらっと言えることに大物ぶりを見せつけられる。
「俺はこんなに努力したのに何で駄目なんだろう、そう言う奴は努力が足りないからだろ。」以前ビートたけしが言っていたのを思い出す。偉大な男はやっぱり違う、そう改めて思い知らされる一冊だ。