ミトコンドリアのちから (新潮文庫)
ミトコンドリア学の勉強にもってこいの入門書である。ミトコンドリア関連では、ニック・レーンのかの大作「ミトコンドリアが進化を決めた」(原題"Power,Sex,Suicide")が一押しなのだが、このご本は450p超もあり、理科系大学の教養課程の教材になる位の代物なので、一般の方には少し取っ付きにくいかもしれない。まずは瀬名さんのこちらのご本から入れば馴染みやすいのではなかろうか。
このご本は2007年の作品で、7年前の2000年に「ミトコンドリアと生きる」という前作があったのに、ここに来てのミトコンドリア学の進歩が急すぎて発展的に改定されるに到った訳だ。前作もこの際、一緒に読むべし。
それでもまだ難しいと仰る方には瀬名さんの処女作「パラサイト・イヴ」をお勧めする。ホラー小説大賞を受賞した力作で、初版発表から2年後の1997年には映画化され(葉月理緒奈:主演)、ヒットした事を記憶している方もおられよう。本を読むのはめんどくさいと言う方は致し方ない、この映画から入って下され(笑)。
小説版ドラえもん のび太と鉄人兵団
漫画やアニメ映画のノベライズと言うと、作中のシーンまで大幅に変えたりする場合と、
全く変えずに作中人物の心中を重点的に描き、作品の世界観を広げる場合がある。
今回のノベライズは、そのどちらも取り入れ、中々上手い具合に仕上げたな、という感じである。
ドラマニア向けのニヤリとするセリフや、過去の映画の話など、
ドラ好きには好感触なのではないだろうか。
のび太が間一髪、しずかを救うシーンでのカッコイイこと!
ドラえもんの四次元ポケットについての考察。
普段はあまり出てこない、ジャイアンやスネ夫の心中。
そして原作後半ではあまり描かれなかったザンダクロスの意外な描写。
おもしろかったです。
ただ、”あのひと”の登場は、ファンサービスにしても必要性は無かったのでは。
パラサイト・イヴ [DVD]
結婚して一年、愛する妻自動車事故で死亡した。精神崩壊しかけている永島が妻の肝臓を勝手に遺体から持ち去り、葬儀にも参列しない。妻に語りかけるようにして肝臓を慈しみ培養する。ある日、肝臓のミトコンドリアは意思を持って動き始めるようになる。一方腎臓移植された麻里子の体に異変が生じる。麻里子は「得体の知れぬ物」を生み出す。それは病院を動き回り…
「ミトコンドリア」の陰謀がテーマですが、聖美が清らかでとても美しい。その現実感のない「美しさ」こそがミトコンドリアの罠であり、永島をある目的に利用していた。その美しさを武器に永島を惹きつけ結婚。そして聖美の交通事故すらミトコンドリアの意思。
しかし、実はミトコンドリアより先に麻里子自身も永島を愛していました。ラストの屋上での永島の炎上シーン。むしろハッピーエンドのようで泣けます。