NHK大河ドラマ総集編DVDシリーズ 新・平家物語
若き日の仲代達矢扮する平清盛の乾坤一擲の気迫と、斜陽化してからの、やることなすことすべてが裏目に出るという閉塞状態が、子供心にも、強烈に焼き付いている作品だが、残念ながら、ここにあるのは総集編であり、当時は、総集編の作り方も未熟であったのか雑であったのか、所々、わかりにくい部分があり、特に、人間模様などの、説明が必要とされる部分でそれが顕著であるようである。
ところで、この作品を見ていて、ふと、思ったのだが、「平家は頼朝を助けたばかりに頼朝によって滅ぼされてしまった」という、巷間言われる「情けが仇」の見本のような話があるが、清盛が源氏の幼子を助けたというのは、決して間違った判断ではなかったのではないか?
なぜなら、保元・平治の乱という熾烈な権力闘争の後、人々は新しく権力者として登場してきた「武士」という武力を持った新興階級に対し、著しい不安感を持っていたと思われ、遺児らを助けることは、まずは、それら不安感の払拭に効果があったと思うからである。
(現に、清盛死後、平家を都から追ったのは、頼朝でも義経でもなく木曽義仲なのである。)
もっとも、ここまではいいとして、私が疑問に思うのは、なぜ源氏の嫡男を伊豆へなどなど流したのか?ということである。
関東は元々、源氏の地盤であり、今は平家に靡いているとはいえ、湿った火薬庫に火の気を投げ込むようなものではなかったか?
私なら、頼朝は京に留め置き、貴族制に代わる武家政権の樹立という源平共通の利害目的を掲げ、その上で、一門の娘をあてがい、平家一門(武家側と言い換えてもいいかと)に取り込む。
それができないのなら、せめて、源氏の基盤である東国ではなく、平家の基盤である西国へ流すべきだったのではないか。
清盛も、まさか「伊豆」と「伊予」を間違ったわけでもないだろうが、何とも腑に落ちぬ選択である。
現代語訳 南総里見八犬伝 上 (河出文庫)
縁あってこの本と出合い、その世界に入り込んでみた。
最初は古臭くて黴の生えた散漫な話かと想っていたが・・・
読んでびっくり、もともと長大なストーリーを凝縮してあるせいか、息もつかせぬジェットコースターストーリー。
次に何が起きるか全く想像がつかない一大エンタテインメントとなっている。奇想天外。実に面白い。
京極夏彦の文庫ばりに分厚いのだが、あっというまに読破してしまった。
現代語の語り口も読みやすく、登場人物の科白と対比されて心地好いリズムを作ってくれている。
薬師丸ひろ子の映画しか知らない方も是非御一読あれ。
小判商人―御宿かわせみ〈33〉 (文春文庫)
このシリーズも長くなった。最近はもっぱら東吾やるいの子どもたちの話が中心。ただ、相変わらず、二人の仲はいい。
昔のNHKのドラマ、大好きだったんだけどな。再放送しないかしら。
以前の話は、切ない話が多かったんだけど、最近はほのぼのとしたファミリーものになった。幕末の雰囲気もだいぶ濃くなってきた。
でも、読んでて安心できるのがこのシリーズのよさ。