源氏物語(上)―マンガ日本の古典 (3) 中公文庫
源氏物語を原文で読むのは至難の業です。ただし、与謝野晶子や谷崎潤一郎、瀬戸内寂聴さん等の名訳(というより与謝野源氏、谷崎源氏というふうに独立したひとつの作品として読み比べてみるのも興味あります)があります。漫画もいろんな種類のものがあります。ただし、長谷川法世さんのマンガ日本の古典シリーズのものは初心者が読めば、あまり面白くないかもしれません。とは言っても、ある程度ストーリーを心得ている人にとっては、とても読み応えがあります。特に和歌がうまく配せられておりその訳も簡潔に説明されており、私は数冊読んでみたマンガの中では一番良かったと思います。マンガ物の中では、一番(マンガを全て読んだわけではないですが)原典のもつ香り(与謝野源氏を読んでの上で)を伝えてくれているように思いました。あの長編を上中下の三冊にうまくまとめたものだと感心しました。