罪と罰
ラジカルなアーティスト(ミュージシャン)なら(多分)誰しも体験するであろう、パーソナリティが沸点に達しているのを見るような激濃シングル。
余談ですが、石川さゆりさん(だったかな)が、ラジオで「椎名林檎さんの巻き舌が結構好き」みたいなこと仰ってるのを当時聴いたんですが、そのベクトルも行くとこまで行ってる気がします。
名曲絶唱。
で。
ボーイズ・タウン・ギャングというよりはプリプリな「君ノ瞳ニ恋シテル」が強烈。「17」も美しいっす。
アルバム持ってても、このカップリングの為に買って損はしないと思う傑作シングル。
蛇にピアス [DVD]
文芸春秋に綿矢りささんとともに掲載されていたのを読んで原作を知っていましたがこの作品を映像化するのはいろんな意味で難しいと思っていました。
19歳の女性ルイが、顔中にピアス・背中に龍の刺青があるアマという青年と付き合いだしてから、自分もアマの紹介で出会った彫り師・シバに刺青を彫ってもらうようになる。ルイはアマと同居する一方で、シバとも関係を持ち奇妙な三角関係が始まる、といった感じでストーリーが進んでいきます。 それと同時に、二人の男が女を奪い合って片方が死ぬ、そして片方がプロポーズしてくるという内容です。かなりアングラ要素が強く一般向けに公開されたとは思えないほどです。
ストーリーを楽しむというより、この不思議な人たちの奇妙な生き方を楽しむ映画なのかもしれない。主演の吉高由里子の大胆な演技は見所だが、人によっては不快感を覚えるかもしれないと思います。はっきりいってまともな大人(とくに女性)にはあまりすすめられない映画です。
吉高由里子が有名になる前に出ていたというのがまだせめてもの見どころかも知れません。そういえば最近はかつての宮沢りえや菅野美穂みたいに若いのに急にヘア・ヌードに
なるといったタレントはなかなかありませんよね。この映画は吉高由里子のヘア・ヌードは
ないのですがかなり大胆な濡れ場を演じています。やってる事はAV女優と大して変わらない汚れ役で、洋画で例えるならアンジェリーナ・ジョリーの濡れ場が凄すぎるポワゾンみたいな吉高由里子の濡れ場のシーンのほうが印象が強い映画です。こんなのが芥川賞受賞作品だなんて信じられない内容で完全に有害図書指定といわれても仕方ないですが…
舌ピアス(リアルだけど実際はCG)、刺青、二股、SEX、殺人、SM、などタブーとされる内容を詰め込んでアングラの世界を描こうとしているがいかにも女作家らしい悲劇のヒロイン願望もラストにはしっかり織り交ぜられていました
ルイは後半ほとんど泣いてばかりで、精神的な幼さ、恋人への依存、解決能力が無い、など全体的に登場人物の言動が幼稚で精神年齢が低く見えました。
あとあびる優も友達役で出てきますが振る舞いが妙にリアルでした。最近の若手だったら
吉高由里子か土屋アンナくらいしかできないアングラな映画だろうなとは思います。
吉高の甘ったるい気の抜けた喋り方はまたバラエティなどで垣間見れる彼女とは違う感じです。個人的にはSMシーンがきつかったかな 暴力シーンは全体的に男性陣が力み過ぎ。
吉高由里子の濡れ場は凄いですが私はあまりお薦めしたい映画とは思えなかったです。
吉高由里子 フォトエッセイ 吉高由里子のあいうえお
彼女の醸し出す不思議オーラに釣られ、わたしもついに吉高ワールドを覗いてみました。
写真だけでなく、吉高さんの内面も知りたい方はホントにおすすめします!スタッフが明かす日常のやりとりも載っていますが、友達になりたい(むしろ本人になりたい笑)くらい魅力的な方です。言動がおもしろいおっさんなんだ(笑)ファンには嬉しい本だと思います。是非☆
源氏物語九つの変奏 (新潮文庫)
九名の錚々たる作家が、それぞれの解釈で描いた九つの物語のアンソロジーです。
その中には、現代語訳しただけに近いものや、視点を変えたもの、時代も場所も全く変えてしまってそのエキスだけを残したものなど様々です。
それぞれの作家の描く物語は、「源氏物語」をより解りやすく深くしてくれるように思います。
今回、この九編の短編を読んで、一番感じるのは、「源氏物語」の「深さ」です。
これだけいろいろな解釈がなされ、そのテーマを時代を変えても作品にしたくなる魅力があるのでしょう。
更に、「源氏物語」の各巻が、それぞれ単独の短編小説になりうるということを再認識しました。
所収されている作品の中で、最も気に入ったのは、江國香織の「夕顔」です。一見、単純な現代語訳のように見えて、意外な夕顔像を見せてくれました。
その他にも小池昌代の「浮舟」も、視点を変えるとこんな魅力的な小説になるのかと、面白く読むことが出来ました。
どの作品も魅力に溢れた作品ばかりで、外れはありません。
読み応えのある一冊でした。
カフカ 田舎医者 [DVD]
初めて観る山村浩二作品である。何といってもビジュアルが美しい。シュールレアレスムの詩的創造が迫りくるようである。
田舎医者はカフカの循環的反復なのだろうか?時間も空間も因果律もないように場面はブリッジして偏在的増殖を続けていく。それは、「夜の闇の実存的恐怖」とでもいおうか!近代以来の『疎外』を、破壊や暴力や恐怖の体験が渦巻くように…にもかかわらず泡立つように語られる。
声の出演は茂山千作をはじめとする「狂言」者。時に地の底から沸いてくるような童の合唱。音響はバイオリンであるが、それは、押して解く、締めて解くというように静と動の対比をもって奏でられ、あたかも陰陽五行説の地・水・風・空のごとくである。カフカの世界に東洋的形而上学の深みが加えられたのである。
山村浩二によって、ヨーロッパと東洋の二つの流れが落ち合った…最高傑作である。独断論になってしまうが、キルケゴール、ショウペンハウエル・ニーチェ・バタイユに魅かれる人は、アンビバレンツな魅惑にぐいぐい惹かれていくのでは、と思われる。