きのう、火星に行った。 (講談社文庫)
小学校6年生の男の子が主人公の児童小説
作者の笹生さんは、「ぼくらのサイテーな夏:などさわやかな児童小説を
書かれる方です。この作品もちょっと陰がある少年が本気になる読後感のよい作品です。
あらすじは、教室の隅っこで友だちと交わらずクールに過ごしている小学6年生が
気づくと、障害走の選手に勝手に選出されていたり、体が弱い弟が一緒に住むことにより
突然降って湧いたはちゃめちゃな弟がいままで自分が占有していたものを我が物顔で使っていたり
かなり、痛い状況になります。さらに障害走で一緒に走るのは、運動神経を
どこかに忘れていった「でくちゃん」。この困った状況で、ふと自分に
気づいてしまうのがこの小説です。
表紙のオビの「みんな大切なことを忘れてしまう」という言葉が
しっくりくる、この主人公の心の成長が感動を呼ぶ作品になっています。
児童小説ならではの平易な言い回し、会話中心の話の展開は、小学生でも充分読みこなせる
レベルの作品ですが、児童小説の一部にみられるおもしろみの無い作品にはなっていない
のがこの作品のすばらしいところです。
160ページぐらいですので、子供でも1日で読めるかもしれません。が
中学入試で使われているぐらい、以外と主題が隠れていて、ライトノベルのように
読み飛ばしで読めるような内容ではないです。
とはいえ、とても読後感もよく、小学生の視線からうまく捉えようとする
この作品は、とても良くできているとおもいます。おすすめです
ベスト・パートナーになるために―男と女が知っておくべき「分かち愛」のルール 男は火星から、女は金星からやってきた (知的生きかた文庫)
この手の本はもともと毛嫌いするたちなのですが、
パートナーに薦められ仕方なく
「読んだ」という事実を作るためだけに読み始めました。
どうせその場しのぎの偽善的なメッセージで満ちているんだろ、
と思っていました。
が、全然違いました。
「どうして男は女の話を聞かないのか」
「男が不機嫌そうに黙り込んでいる時なぜ女は話しかけてはいけないのか」
「女がやたらと男の世話を焼きたがり、それを男が嫌うのはなぜか」
「どうして女は自分ばかりが損な役回りをしていると感じるのか」
こういった男女問題に非常に明快な解説を加え、
誰でも即実践可能な具体的アドバイスも丁寧に書かれていて、
実際に試してみたらあっけないほどスムーズに問題が解決したのには驚きでした。
他にも
「男が女に対して心がけるべき100ヶ条」や
「非協力的な旦那にすすんで家事の手伝いをさせる裏技」(笑)
なんかも具体的かつ実践的でためになります。
誰もが当てはまる訳ではもちろんないでしょうけれど、
これほど「読むだけですぐ役立つ」本も他にないと思います。
とにかく読んで損はないです。
Retrograde Planets: Traversing the Inner Landscape (Contemporary Astrology)
この本は、タイトル通り、逆行に焦点を当てて書かれた、非常に興味深い内容となっています。逆行についてこのように詳しい説明がなされている本を読んだのは初めてでしたので、とても勉強になりました。本は4部構成になっていて、第1部では逆行がどのようなメカニズムで起こるのかについて、第2部ではインナープラネットである水星と金星のネイタル及びトランジットでの逆行について、第3部は火星以遠の天体のネイタル・チャートにおける逆行について、第4部では、火星以遠の天体のトランジットでの逆行について、詳しい解説があります。
第1部では、逆行というのは、インナープラネットでは天体が太陽と地球の間に座すときに生じ、火星以遠の天体では天体が太陽とオポジションの位置に近づき、地球が天体と太陽との間に座すときに相当します。共通点は、天体が地球に最も近づくときであるということから、逆行は主観性や個人的体験、という概念と深い関係があるとされています。
ネイタルで逆行している天体を持っている場合、その人はその天体が持つ性質を外に表すのにためらったり、不安になったりするため、その性質を隠したり逃げたりして、その結果その性質を伸ばすことが遅れたり、内向もしくは内省的になったり、非社会的でエキセントリックな性質を持つこともあるそうです。もう一つ、元々ネイタルの天体が逆行している人は、プログレス天体が逆行から順行に戻り、ネイタルの位置に戻るタイミングなどが、人生で大きな転機になることもあれば、ネイタルで順行している天体がプログレスで逆行するときにも注意が必要なようです。
水星の逆行は火の要素→地→風→水、のように6年間で一巡します。これに対し、金星は8年に一度同じ場所で逆行し、チャートを144度ずつ回転していきます。144度=360度÷5×2という式で表されるように、5に由来する数字です。5という数字は、創造性を表すとされますが、金星の逆行もそれまでと違う創造性を生み出すような期間となることもあるようです。金星は天秤座と牡牛座の2つのサインを管理していますから、ネイタルで金星が逆行している場合、心理的及び肉体的な愛情の発達に問題があったり、もしくは母親像が統合されていなかったり、価値観の善し悪しの判断が難しい、などという現れ方をすることもあるのだそうです。
火星以遠の天体の中では、火星は逆行中に太陽とトラインを形成しないという意味で、異色なのだそうです。火星は地球から外にある天体の中で一番初めの場所にありますから、火星は太陽、水星、金星の力を外、もしくは社会的に発揮させるために非常に重要な役割をしていると考えられます。そのため、火星が逆行している人は、抑圧されているような感覚を持つこともあるようです。次に、木星の逆行は比較的問題はないとされますが、土星の場合は、父親像に問題があるということはNoel Tyl氏も指摘しています。最後に、土星以遠の天体については、個人的というより世代的な特徴ということで、太陽など主要天体とリンクしていない限りは、あまり重視しなくて良いとされています。解説では、様々な人の例も多く掲載されているので、読みやすい本なのではないかと思います。
ホルスト:惑星 / ウィリアムズ:スター・ウォーズ
ホルストの組曲「惑星」全曲と、映画「スターウォーズ」の組曲と言った異色のカップリングに、発売当時、人びとは意表を突かれた思いを抱いた事でしょう。しかし、現実にこの曲が発売されるや否や「レコード・アカデミー大賞」を受賞することになった、記念碑的なCDです。
両方の組曲とも、オーケストレーションはとても近代的で勇壮な曲作りとなっており、指揮者とオーケストラが一体となってロマンティックで雄大な音楽を如何なく引き出しています。
「惑星」では、第1曲「火星」や第4曲「木星」のように、いかにも映画音楽に相応しいものもあれば、最終曲「海王星」ではヴォカリーズを効果的に利用するなど、前衛的な面が現れています。
これに対し「スターウォーズ」では、メインタイ!トルの音楽に表されているように、現代的なオーケストレーションで明瞭で分かりやすい旋律を描き出しています。
クラシック好きの人にも、映画音楽好きの人にも、このCDは自信を持ってお勧めすることが出来ましょう。
ベスト・クラシック100 2
まず特筆すべきは、このお値段でこれだけの著名楽曲が楽しめるということです。
演奏している楽団も著名な楽団ばかりで、オムニバスとはいえ寄せ集めの感じはしません。
クラシックといえば難しいイメージがあったりするかも知れませんが、
初心者でもそんなに垣根を感じることがないような選曲がされているのではないでしょうか。
そういった意味からも本作品は秀作であり、かつお得なタイトルであると思います。
ワーグナー「ワルキューレの騎行」
ロッシーニ「ウィリアム・テル」
ヴィヴァルディ「四季」
ベートーベン「エリーゼのために」
スメタナ「モルダウ」
サティ「ジュ・トゥ・ヴ」
メンデルスゾーン「ノクターン」
などなど、他にも一度は聴いたことがあるであろう楽曲がズラリ。
「ドラマで聴いた」「CMで聴いた」「ゲームの中で聴いた」なんていうものも数多くあるはず・・・。
聴きたかったけど曲名がわからなくて聴けなかった、というものもあるかも知れませんよ。
全6枚、それぞれのディスクがそれぞれの雰囲気を持っています。
聴き散らかすのではなく、1枚1枚じっくり聴いて頂くことでより深みが増すことでしょう。
心に残る音楽が壊滅状態にある昨今、
時にはクラシックを聴いてヒーリング気分を体験されてみてはいかがでしょうか。