遺跡の声 (創元SF文庫)
「バビロニア・ウェーブ」で星雲賞を得た堀晃の、遺跡調査員シリーズ短編集。
第一回日本SF大賞受賞作品「太陽風交点」を収録。
1970-80年代に書かれたものがメインであるが、あまり科学的な古くささは感じさせない。SFにしては目新しい「異星の遺跡調査」という観点でかかれているせいかもしれない。
サブキャラクタとして重要な役割を果たす結晶生命体との会話のやりとりが楽しい。別に面白い話がやりとりされるわけではないのだが、機械でもなく地球人でもない「彼」の会話の反応の具合が楽しいのだ。もし作者がここを計算してキャラクタ設定したのだとすると、かなり深い先読みに感心すべきところか。
「バビロニア・ウェーブ」とはちょっと違った作風で、楽しめました。和製SFも結構良いですね。
サイエンス・イマジネーション 科学とSFの最前線、そして未来へ
2007年に日本で開かれた国際的なSF大会、Nippon2007の中で開催されたシンポジウム企画「サイエンスとサイエンスフィクションの最前線、そして未来へ!」の講演録が収録されている。
主にロボット研究、AI研究の発表だが、最先端の研究内容に触れられ、興味深い。また、それプラス、そのシンポジウムに参加したSF作家たちの短編小説も収録されている。
収録されている作家は、瀬名秀明、円城塔、飛浩隆、堀晃、山田正紀と新旧、日本を代表するSF作家たちだ。
特に飛浩隆と瀬名秀明の小説はとてもいい。
それを読めただけでも、この本を買った甲斐があった。
人間の想像力とその文学的な表現、それこそがSFの命だ。
バビロニア・ウェーブ
専門家が最後に解説しているけれど、そんなことより。SFとしては十分面白い。
ただ、選択的にウェーブから報復を受けることについて、本編で説明がなされているが、それがあまりサイエンティフィックではない気がする。その設定が、謎めいたウェーブの印象を読者に与えるが、説明が出来ないから煙に巻いた感が否めない。
最後の方で、全宇宙的に観点への脱却を読者に求める部分があるが、そこをもっと深めたらよいのではないかと思った。
でもSFとしては十分面白いと思う。日本オリジナルSFとして、世界レベルで映画化してほしい。
Atmosphere
村石雅行のライブで初めて彼の演奏を聴いてすぐに気に入った。タイトなリズムの上に
哀愁のあるクロマチック・ハープのメロディは理想的な感じがした。ノートを見ると
彼はキーボードの他、ベースまでも演奏する才人のようだ。なるほどだからこのような
素晴らしいアレンジが生まれるのだ。初めて聴いたS・ワンダーの「I Can’t Help It」が特にいい。