海将(下) (講談社文庫)
さすがに白石作品は海洋小説が面白い。特に高松城水攻めでは行長の船で大砲を撃つなどのアイデアは面白い。この部分をこれほど詳細に内容豊富に記述した作品はかつてみない。歴史小説259作品目の感想。2010/06/08
航海者―三浦按針の生涯〈下〉 (文春文庫)
1999年に幻冬舎から出た単行本の文庫化。
三浦按針ことウィリアム・アダムズの生涯を描いた小説である。伝記ではない。解説等にあるように、かなり自由に想像を羽ばたかせて書いている。
また史実、地名、人名等のミスも散見される。
とはいえ、物語としての魅力は十分。
下巻では、家康の寵愛を受けて旗本に取り立てられるあたりから、長崎のオランダ・イギリス商館での活躍、晩年まで。
上巻ではちょっと理想的に描かれすぎていたアダムズだが、下巻ではむしろ人間くさい姿が前面に出てきて、弱さやプライドといった側面が焦点となっている。
もうちょっと取材をきちんとして欲しかった。
サイボーグ009 1968 DVD-COLLECTION
手に入れました。見てます。
私は1972年生まれなんで、1968年は当たり前の話なんですが
生まれてないです。
ライダーやウルトラは再放送で見てるんですが、
この009は初めて見ます。
79年版世代なんですが、68年版も面白いです。
007を子供に設定してあるのも新鮮でした。
やはり、009はいつの時代もすごい。
島原大変 (文春文庫)
「島原大変」も十分に面白いのだが、個人的には解説の西木正明さんも好きだと言う「ひとうま譚」をオススメしたい。
豊後の岡藩の九重連山が舞台。山好きの奇妙なお殿様(中川久清)に振り回される周囲の人間の悲哀を描いているが、九重に登ったことがあれば、面白さは倍になる。山好きをニコニコさせる時代小説というのは他に思いつかない。同じ九州人の松本清張に「西海道談綺」があるが、設定としては凡庸な山岳修験を描いたもので、英彦山に登ったからと言って、面白さが増すということはない。
山を描いた時代小説が少ないのは、おそらく、江戸時代には山登りを楽しみと感じる感覚はなかった、というもっともらしい話が影響しているのだろうが、こりゃ単なる俗説。江戸時代だって、大船山の鮮やかなミヤマキリシマに歓声を上げ、豊かな温泉に驚き、頂上からの眺めに感嘆していたはずなのだが、昔はその感覚を赤の他人に言葉で伝える能力も必要もなかったというだけの話である。
白石一郎なので、当然、筋立てもひとひねりしてあるのだが、珍しく留保なしの向日的な結末も心地いい。
他に大友義鎮を描いた「凡将譚」、豊後森藩主の狂気を描いた「海賊たちの城」。こちらはいつもの白石一郎。