イシュタルの娘~小野於通伝~(3) (BE LOVE KC)
非常に丁寧に描かれた歴史ロマンス。物語は実在の女流文化人、小野お通を主人公に、シャーマニズムや公家とのロマンスを盛り込んだものだが、数多くの歴史的武人、文化人が登場し、そうした人たちとの交流の中で成長するお通の姿は非常に爽快で、読んでいて感動的でさえある。
漫画としてはどちらかというと台詞が多いが、コマ割りはシンプルで読みやすく、構成の良さもあってストレスもない。淡々と物語は進むが、緩急を上手につけてあり、静かに、しかししっかりとした盛り上がりが数多く存在し、読み応えがある。非常に凝集された感じがあり、3巻目まで読んだが、6冊くらい読んだような実感がある。
実際は血なまぐさく、策略の多い時代であったはずだが、そのあたりはしっかりと織り込みながらもソフトに処理されており、難しい話は抜きに、当時の雰囲気たっぷりに、楽しめる。当時の著名人が数多く登場し、そうした人たちがまた話を盛り上げる。
4巻目がとても楽しみだ。
あさきゆめみし(5) (講談社漫画文庫)
紫の上をついに失い、光は自分もまた身辺整理をして僧になろうとする。
紫の上が愛した三の宮に、梅と桜の木を自分と思って大事にしてくれと遺言を残し、また生まれ変わったら同じように光と相愛したいと願い死んでいく紫の上。紫の上をなくし抜け殻のような光。
しかし、光が最後に皆に姿を現したとき、光は変わらず美しかった。
これで、宇治十帖を残して、光の君の物語四十四帖が終わる。
これからは、紫の上が愛した小さきものたちの物語である。
あさきゆめみし(7) (講談社漫画文庫)
学生の頃に古典を勉強しましたが、源氏物語といえば「光源氏」ぐらいの知識しかありませんでした。それでも、やっぱり一度は読んでみたいと思い、いろいろな方が書かれた源氏物語の本を手に取ってみるのですが、どうも難しい!
そんな時に出会ったのが「あさきゆめみし」でした。
この7巻目は、光源氏がもっとも愛した紫の上さまが亡くなってしまいます。
読んでいる私も涙が出そうに悲しくなりました。
読み終えた後は、あまりのすばらしさに感動、感動、感動でした。
あさきゆめみし 美麗ケース入り 全7巻文庫セット
大和和紀さんとそのスタッフの皆さんはエライ!
受験に役立った方が多いというこの漫画ですが、原作を消化して、これだけ絵の美しい漫画にしたということで、もうそれだけでこの漫画はすごいです!
「美麗」という言葉はこういう時使うんだなあ、と思います。
装束の柄やしわ、女性の髪の流れ、よくぞここまで描ききった。
千年前も公達や姫君、女房衆が続きをわくわくして読んでいたのでしょうけれど、千年後の私たちも同じようにわくわくしながらページをめくれるというのはこれはもう、本当に幸せですよ!
受験といわず、ただ楽しみのためにぜひ読んでください。
世界に「日本の漫画はこんなにすごいんだぞ!」と自信を持って自慢できる作品として、いついつまでも版を重ね、読み継がれていってほしいと思います。
ちょっとだけ文句を言うと、美麗ケースが本のサイズにぴったりしすぎること。一冊だけ取り出すの、大変なんです(笑)。
イシュタルの娘~小野於通伝~(5) (BE LOVE KC)
大和和紀さんのマンガは以前から好きでよく購入していました。人物がとても魅力的に描かれていています。3巻までをイッキ読みして4巻5巻と購入。続きが楽しみです。イシュタルの娘~小野於通伝~ コミック 1-5巻 セット (BE LOVE KC)