豚小屋 ニューマスター版 [DVD]
現代劇と古代劇が交錯する作品であるため、見始めた当初は作品の「構造」が一体どうなっているのか当惑する。次第に人が人を食うということ(文字通りのカニバリズムもあれば、資本主義経済における搾取という象徴レベルの比喩もある)にフォーカスしてゆくことに気がつくはずだ。
現代劇のほうでは元ナチス関係者と企業家の結託が描かれる。企業家自身の風采はヒトラーそのものだし、彼の演奏するハープはナチス党の音楽を奏でていたりする。そして最後のシーン。これはホロコーストを連想させる何やら悪魔的な比喩ではないか!
全体的にシンメトリックなカットが多用されており、何やら宗教画を見ているような錯覚を覚える作品。
鬼才ピエル・パオロ・パゾリーニ 3枚セットDVD ~生誕90年特別限定セット~
パゾリーニの魅力全開だ。嫌いな人は見なければよい。ソドムは長らく手に入れづらかった作品だけに、感無量だ。こういう作品は永遠に価値の下がるものではない。今買わなければ損をする。
ホラー番長 スペシャルBOX [DVD]
ユーロスペースで上映された企画「ホラー番長」の4作品を集めたボックス。
単品のソフトが4タイトル収められ、さらに特典ディスクが1枚追加されたセットがこの価格なら、かなりの割安でお得感が高い。
特典ディスクの内容は、ユーロスペースでの監督&女優のトークショー(『稀人』と『ソドムの市』)、監督&キャストの対談(『月猫に蜜の弾丸』と『運命人間』)、そして『稀人』『ソドムの市』のメイキングが少々と「ホラー番長」の予告編。
特典ディスクの内容は非常に物足りない。
ボックスに収められた単独ディスクは4枚とも片面一層で、それぞれの映像特典内容は初日舞台挨拶だけだったのだから、まだまだDVDソフトとしては容量が余っている。つまりこの特典ディスクの映像素材は、各単品に振り分けても問題ない。そういう意味ではメーカー側の商魂にはいやらしさを感じるが……。
まぁ、単品でちょびちょび買うぐらいなら、これ1箱買ってしまった方が安く上がるのは確かである。値段的にサービスしているのだから高望みしても仕方ないが、同梱特典にブックレット(解説書)は欲しかったところだ。
(★ホラー番長4作品の単品商品に関しては個別にレビューを書いているので、そちらを参照して下さい)