pray
松雪泰子のデビューアルバム。この他にも数枚のアルバムやシングルが発売されているが、この一作目が最も出来がいい。曲も聴きやすく良質な楽曲ばかりである。彼女の音楽面に触れてみるなら、取りあえずこのアルバムから入ってみてはどうだろう。
猟銃・闘牛 (新潮文庫)
小説「猟銃」を知ったのは大竹しのぶが朗読する番組を見た時だ。本当に彼女は素晴らしく、登場する三人の女たちを演じ分けていた。今回やっと原作を読むことができたのだが、番組では省略されていた部分を色々な気持ちを交えながら堪能した。私はもともと手紙式の小説が好きであるが(あしながおじさん、アンシリーズのアンの幸福etc・・)そういう人に特におすすめする。
今や孤独となった男と彼をとりまいていた女たちの十三年の愛憎の日々にどっぷり浸かり、この時はせめて平凡な日常をとっとと忘れよう。
ギルステイン [DVD]
まさか、韮澤先生の名前を全面に出した作品が出るとは驚きでした。
たしかに、韮澤テーストを完全に出したとは言い切れませんが、映画ならこんなものでしょう。逆に、製作会社もよく冒険した、と褒めてあげたいです。
もちろん、オリジナルキャラということで、大事なコレクションの一つにします。(おそらく、この先“2”が出るとはとてもかんがえられないし...)
内容は、ありふれたアニメ映画という感じですが、最後のオチくらいは、それなりに頭をひねったみたいなので、まぁ、許してあげよう!
一言で言えば、コレクターズ・アイテムだな。
トキオ 父への伝言 [DVD]
放送当時の2004年9月は災害が相次いで、その影響で頻繁に画面にテロップが入ったり、ニュース画像と画面分割など、なかなかまともに見れなかったけど、DVD発売してやっと満足に見れました
でも、ここまで感動する内容をただ単にNHKの15分ドラマで放映するのにはもったいなすぎると思いました。民放でゴールデンタイムに2時間×2日かけてやるとか、映画にするとかしてもっと多くの人に見てもらいたい内容です(当時は感動映画が多数大ヒットしていました)。
大塚愛の「大好きだよ」とサウンドトラックもこのドラマをさらにもりあげてくれていてとてもいいと思います
一週間
この小説の読みごたえは、展開される会話の内容の濃厚さにあるのだろう。
主人公は元日本共産党員で捕縛・拷問され転向し、満州で日本軍に配属された後、ソ連によってシベリアに抑留される。
抑留されながらも日本共産党を壊滅させたスパイMを探し求める主人公、同様にシベリア抑留されている日本兵、大学で日本語を学び対日政策にあたるソ連の高級将校ら、ソビエト革命後も裏切られ、民族解体の弾圧にさらされる少数民族、ソ連の英雄的な地質学者と結果してロシア人からも尊敬されている日本人女性など、様々な運命を背負う人々の間で濃厚な会話が展開する。
小説の後半は、教祖レーニンの出生の秘密と民族解放の裏切られた現実を物語る「レーニンの手紙」を巡る主人公とソ連将校の相克が展開する。
兵卒の配給食糧を搾取し肥える元日本将校らと餓死・衰弱死する元日本兵、日本兵への反軍国主義の教化を標榜しながら、旧日本軍の身分制度を黙認、利用するソ連将校ら、共産主義運動に身を投じたが、ソ連に現実=革命の背徳を批判する主人公などの会話を通じて、旧日本軍国主義、共産主義、少数民族の諸問題が生生しく語られる。
これら全ては終わった問題ではなく、今のロシアでもチェチェン人の独立闘争とロシアによる弾圧として続いている(そして中国や世界の他の地域でも続いている)長い物語の一部であることに気がつかされる。旧軍国主義の亡霊ですら、死んだふりをしているだけではないか、そう感じさせられる。
エンディングはやや尻切れトンボの感があるが、遺作の所以だろうか。