遺し書き―仲代達矢自伝 (中公文庫)
駅の本屋さんで見つけて移動中の暇つぶしに買ったのですが、
新幹線の中で涙が止まらなくなって困りました。
仲代さんは、日本人離れしたルックスで渋い演技をする大御所 というイメージしか持っていなくて、
このような生い立ちをもって、このような素敵な奥さんとの人生をおくられた
すばらしい人だったんだなあと改めて注目です。
特に奥さんのお話は、最近のモンスターペアレンツとは同じ人間だと思えないし(つめの垢をせんじて飲ませるというより
そもそも良さが理解できないでしょう。読書している間も後ろの座席で子供がキーキー金切り声を上げ、親は注意もせずにビールを飲んでいました)
ある程度年配のいわゆる できた奥さん でもこんなにすごい人はいないのではないでしょうか。
何度も生まれ変わってきた仲代さんの運命の人なんだなあと思ってしまうくらい素敵です。
筆者も作家を志したこともあるというくらいの人ですから、文章の力もあるとは思うのですが、つくづく美しい人です。
買ってよかったし、キオスクの人の選択眼にも感謝です。
鬼龍院花子の生涯【劇場版】 [VHS]
五社映画が好きな人、手元においてください。
私も、夏目雅子さんに引かれて購入したものの一人です。
けれどこの作品は、人間愛に焦点を絞った五社映画の傑作。と思うのは私だけでしょうか?
男とは。父親とは。仕事上。家族を守るために。
いろいろな観点から人間の生きる道が画かれているように思えてなりません。
一番の感動シーンは、羽織をかけるシーンです。涙が止まりません。
是非、忘れていた正直な自分を見つけてください。
春との旅【DVD】
おじいちゃん(仲代達也)と春(徳永えり)のコンビを見ていたら、何故だか昔見た『キッド』のチャップリンとキッドのコンビを思い出しました。
2人が巡る旅は、つらくて悲しいものですけど、それでも2人の間の絆というか、そんなものが感じられて、温かい気持ちになれました。2人で歩きまわったり、ご飯を食べたりする、何気ない瞬間瞬間が愛おしいのですね。
不毛地帯 [DVD]
今思えば昔は中学生が普通にこの手の映画を観に行ってたのかと思うとすごい気がします。原作の回し読みまでしてたのかと思うと驚きです。今はメデイアが客をなめているのでしょうね。仲代さん眼力すごすぎます。
日本海大海戦 [DVD]
内容は文句ありません。
日本海海戦となっていますが、
同時に行われた陸軍の作戦(二百三高地)もしっかり描かれていまして
この作品一本で日露戦争がわかりやすく解説されています。
東郷さんの三船さんをはじめ、名優があまた登場。話をびしッと締めてくれます。
また将官だけでなく下士官、一兵卒、市民の奮闘、陸軍将兵の悲哀も描かれていて戦争映画として燃える。
対するロシア軍も出番は少ないのですが、比較的対等な立場で描かれています(会話がロシア語なのは感動)。
艦隊戦の特撮は実写のような臨調感あふれるもので手に汗を握ります。
ここまでレビューを書いていると非常にイケイケな戦争映画に思えてきますが
しっかり戦争の影で行われた諜報作戦の暗部を描いている。
ロシアの革命勢力に工作をする明石大佐(仲代達也さん)が、後の共産革命の後押しをしたのは事実であり、
日露戦争なくして、あまたの20世紀の共産革命が成立しなかったのは確か。
(共産党の大躍進がなければ、ヒトラーも政権を取れなかった!!)
また戦争後の山本権兵衛と伊藤博文の会話が、対アメリカ戦を意識している。
20世紀の通過点として、そして20世紀の設計をしてしまった日露戦争が浮かび上がってくる。
それは、日本にとって世界にとって幸せな結末だったのか?の問いかけを作品は訴えている印象がある。