太陽の仲間たちよ (KCデラックス―ドキュメントコミック (468))
現在(2008年9月12日)北京でパラリンピックが開かれていますが、これは1985年にIOCが認めるまでは正式にはストーク・マンデビル競技大会と呼ばれ、第1回は1960年のローマ大会です。
この本には、
「働けもしないくせに障害者がスポーツするなんて何を考えているんだ」
というような事が平然と言われていた時代に、私費を投じてまで第1回ストーク・マンデビル競技大会に日本からの参加者を送り込んだ、中村裕 医師の生涯が描かれています。
中村医師は障がい者自立についても尽力されましたが、中村医師の熱意に共鳴した立石電機(現オムロン)の立石一真社長と共にオムロン太陽株式会社を設立された背景についても描かれています。
10年以上前に、大分県別府市にあるオムロン太陽の工場を見学した折に記念として頂きましたが、涙なくしては読めない、日本の障がい者自立の歩みを垣間見れる好書です。
「汚れた弾丸」「アフガニスタンで起こったこと」 (KCデラックス―ドキュメントコミック (1831))
これを読んで、なぜ劣化ウラン弾は核兵器として認定されないのだろうかと疑問に思った。私はK外務大臣に、「自衛隊が劣化ウランに汚染されるだろう。どうするの?」と質問したことがある。彼女の返答は「害はない」との認識だった。
しかし、サマワに駐留していた米軍兵士が体調不良を訴え、尿から劣化ウランが検出された。彼らの内のある者は癌に、彼らの子供は奇形児として生まれてくるだろう。この事実をヒラリーが追及しており、アメリカでは話題になっている。
K外務大臣は、自衛隊員が癌になり、奇形児が生まれても、「害はない」と嘘を吐き続けるのか。
そもそも、この漫画に描かれるようなイラクの人々の苦しみを無視して、黙殺してきた怪物の正体は「レイシズム(人種主義)」である。日本人にはレイシズムが強くある。
それがこの本に対する「反応」に現れているのは自明であろう。
追記
思ったとおりの反応ですね。おもしろいです。どうです?否認するなら劣化ウラン弾の粉塵をご自身で吸われてみたらどうですか?スーパー・サイズ・ミーみたいに、ご自身の体で、試してみてくださいよ。お願いします。それができないなら、かなり笑えますね。
語り継がれる戦争の記憶(2) (講談社漫画文庫)
読み終わった後のこの違和感、いったいなんだろうと悩んでしまった。
そしてそれは、2話目に登場する主人公、横田寛氏のストーリーにあると思った。
彼は自身の著作(ああ、回天特攻隊)があるのだが、その著作を元に描かれたこのストーリーは、いささか、彼が自書で伝えていたものと微妙に違う。
製作にかかわった方々は信頼のある方々であるため、晩年も含めての横田氏の想いを再現したものではあるだろうが、あとがきに、横田氏本人が生前、
『俺の気持ちは誰にもわからない』と言ったとあるとおり、この本もまた、横田氏の本心には触れられていないと思う。
この本だけでなく、横田氏の著作もぜひ手にするべきだ。
語り継がれる戦争の記憶(1) (講談社漫画文庫)
この作品は今の日本人が忘れてしまっている戦争について思い起こさせてくれ、特に若い人に読んでもらいたいと思う。
一つの作品は2つのストーリーからなっており、一話は沖縄戦、二話はパールハーバー(真珠湾)の奇襲攻撃についてである。
漫画であるので深い内容を知ることはいささか難しいが、端的にまとまっており、絵の方もグロテスクなものではなくグロテスクな絵が苦手という方でも読みやすいと思う。
この作品は3シリーズの中でも特に名作であり、ワンネイナカノエイビンとしてはこの一巻が一番おススメである。
チェルノブイリの少年たち
『チェルノブイリの少年たち』(原作:広瀬隆)、『尾瀬に死す』(原作:平野長靖)のコミック化。
各作品前後編の計4話と、それぞれの後書きから構成。タイトル作初出は1991年、週刊少年マガジンで2週にわたり掲載。
旧ソビエト連邦下での未曾有の放射能事故の顛末、一方の『尾瀬に死す』は、今では環境保全が定着した尾瀬湿原の
そこに至るまでの知られざる壮絶な過去、それぞれを当事者とその家族に視点をあて描いてます。
ともに自然界のバランスを無視した人類の独善が生んだ悲劇の記録です。
決して遠い遠い昔の他人事ではない、人類が地上に生息し続けるかぎり心にとどめ忘れてはならないもの。
この作品に込められた先達のメッセージは、つい目の前の利便・快楽の享受に安穏とする我々への警鐘です。
(僕と同じく)当時マガジンで読んで衝撃受けた方、これでもう一度読めますよ。
十数年前にこれ読んで以来、僕はクルマで片道30分以内の距離ならよほどの事がないかぎり自転車で行くようになりました。