女と男のいる舗道
『あがた森魚読本』を読むと『タルホロジー』を出す以前にあがた自身から久保田麻琴へプロデュースのアプローチがあったと久保田が証言している。
それだけあがたの才能を形にしてくれるプロデューサーが日本に少なく、制作サイドの貧困さを感じさせるエピソードだが、
本作はムーンライダーズの白井良明をプロデューサーに迎えたアルバム。映画音楽をモチーフにした企画は少し安易な気がするが、
やはり聴いてみるとあがたのオリジナル曲が無く、無理やり曲に詩や言葉を載せているような気がした。特に「海底二万哩」は、
あがた本人が選ばざるを得なかったんだろうけれども、どうにも料理できない曲だった。オリジナル曲を封印しなければならないとなると
あがたの持ち味は半減する。(「イミテーションゴールド」は及第だが)あがた森魚のボーカル、「スーパーフライ」では風邪気味だし、
いかんせん制作時間が少なすぎたのかも知れない。アルバム中、「冒険者たち」やサンバのリズムが背景の「リオの男」はお気に入り。
必ずしも白井良明のプロデュースは成功しているとは言えない。それにしてもヌーベルバーグ以降良い映画音楽が存在しないということなのか
いかにもな曲ばかり集めすぎでは?あがた初心者の方は他のアルバムから入った方が良いと思う。あがたのプロパーの序数アルバムとは言い難い。
とは言え、デビュー40周年を迎え何度目かのプチブレイクが起こりつつある現在、出しておかなければならないアルバムだったのだろう。現在から考え
ると90年代は何度も発売延期があったものね。ジャケ、ブックレットが良いだけに残念。
Ciao!
各氏2曲ずつは他の方のレビューにもあったように「アニマル・インデックス」以来でしょうか。 全体的に赤のアルバムの雰囲気でしょうか? 正直、Twitterでも進捗状況がアナウンスされていましたが、どうしても発売日をずらせない状況で突貫制作っぽい感が否めませんが、サウンドに関してはかなり上位にいけるクオリティではないでしょうか! 各氏の楽曲は関しては決してベストとは思いませんでしたが、かしぶち氏の「Pain Rain」とばんちょの「Masque-Rider」は心に染みました。それぞれ「この月夜 あまりに 美しすぎて 涙のように 光る」と「揺れているのは 僕らの方だ いい想いばっかりだったかな」の一節に心打たれました。ひとつの区切りとしての言葉として受け止めたいと思っております。結論からしてこれで終わってはいけないのです。40周年にまた私達の前に復活して頂ける事を切に願ってボクハマチツヅケマス!
THE DIG Special Edition クイーン (シンコー・ミュージックMOOK)
全頁、QUEEN!
同社から刊行された『ミュージック・ライフが見たクイーン』の
番外編的な内容(再録インタヴュー集)が35頁以上含まれるので、
その続編とも捉えられる。
特筆すべきは、「発掘インタヴュー」の項。
1975年メロディーメーカー誌からフレディ、
1976年サーカス誌からブライアンのが、転載されていることだろう。
それらは、彼らの最高傑作と語り継がれる
『オペラ座の夜』の制作直後の会見なので
時を経て、それがどう今に映っているかが面白い。
※『beatleg magazine 5月号 (vol.130)』誌の
1976年サウンズ誌のフレディのインタヴューと併せて読むと◎!
またぁ?と思いがちなヒストリーは、
日本公演と上手くリンクさせてあって知っていても楽しく読めた。
しかし、
ディスコグラフィーは、
初心者や余りご存知でない方には、参考にもなるだろうが、
個人的には「今更感」は否めず、ここは、
最新リマスターされた音質を踏まえて欲しかった。
又、
P12〜13の写真は、「1979年のリハーサル」では無く、
1981年武道館公演時のリハーサル。
彼らと『MUSIC LIFE』誌の縁は切っても切れない!が、定説なファンとしては、
この様な誤植には、ガッカリさせられる。
シンコーさ〜ん!!!
花鳥風月
これまでのアルバムに収録されなかったカップリング曲や、インディーズ時代のひそかな名曲など、「注目されなくてかわいそうだった曲たち」を集めたアルバムです。
このアルバムの曲順は「新しい曲→古い曲」と、時代をさかのぼって行く構成ですが、古い曲になるにつれて草野さんの声や歌詞、曲のアレンジが初々しく、けれど力強くなっているのがよく分かります。スピッツの知られざる歴史を突きつけられたようで、私は聴いていて切なくなるのですが・・・
スピッツをあまり聴かない方が、一般的に代表作と言われている「空も飛べるはず」や「ロビンソン」といった曲を頭に思い浮かべてこのアルバムを聴くと、想像と何か違いすぎて驚いてしまうかもしれません。私も実際そうでした。でも、そこを我慢して何回か通して聴いてみると、個性あふれるそれぞれの曲の持つ世界が自分の中に染み込んで、手放せないアルバムになると思うので、スピッツをあまり知らない方にも本当にオススメします!
「爽やかな青空」というよりも、「窓から見える星空」を思い浮かべる風流な(?)一枚。ぜひ聴いてみて下さい。
MOONRIDERS THE MOVIE「PASSION MANIACS マニアの受難」DVD+Collector’s Premium CD
言わば日本語ロックの生成に関わった人々が多数登場し、音楽業界という狭い村社会の歴史とその行き詰まりを描いている。