晴天の迷いクジラ
この作品で窪美澄さんを初めて知りました。本屋で見つけて帯に、ただ「死ぬなよ」って、それだけ言えばよかったんだ、というのを見て衝撃を覚えました。
それぞれ主要人物が3人いて、それぞれ一編ずつに3人の過去や情景が描かれ、(一人は仕事の忙しさから、彼女に振られ、勤めているデザイン会社も潰れそうで、鬱になってしまった青年。もう一人はつらい過去を持ちながらも、懸命にデザイン会社の社長を務める中年女性。もう一人は、母親の過度な愛情に振り回され、普通の女の子として生活ができず、唯一の友達も失い、引きこもりになってしまったリスカ少女。)
最後に3人で湾に迷い込んだクジラを見に行く、という4編からなっています。
一人一人の描写がうまい。救いようが無いんですが、それでもやっぱ生きてほしいって読者のこっちも思ってしまいました。それぞれ他人のはずの3人が家族のようになっていき、お互いを心配し合い、自分が死にたかったのに相手のことを心配してしまうという。そんなどうしようもない人たちなんですが、自問自答を繰り返して、自分なりの答えを見つけ出すという話です。
「死ぬなよ」
作中の中でこれほど感動する言葉はないと思います。人間生きてりゃ死にたくもなる。でも、どんなに苦しくても、せめて生きろっていうメッセージ。自殺なんかしてはいけない。「とにかくなにがあっても生きてください」という温かいメッセージがこの本には託されていると、僕は思いました。
それぞれの道を歩む3人をなんだか親になった気分で見ている自分がいました。この本に出合えたことを心からうれしく思います。今日読み終わったんですが、また読みます。友達にも読んでもらいたいと思いました。
何があっても、苦しくても悲しくても、僕は生きます。
絶対死なない。この本を読むと、そう思えます。
最後に、窪美澄さん、素晴らしい本を、ありがとう。
八月の鯨 [DVD]
1988.11から89.3まで岩波ホールで上映されたこの作品はDVD化が待たれたもので今回発売されたことはありがたい。当然のことながらVHSビデオに比べ画像の鮮鋭度はとても高いし、私がNHKTVから録画し大切に保存していたのもと比べるのはいわずもがなである。ただ、収録サイズが原画のスタンダードサイズ(1:1.37)からワイド16:9(1:1.78)になったため上下がカットされている。セーラが庭で絵を描いているシーンでは海の向こうに島影を入れて風景の広がりを見せているのだが、これがカットされている。このDVDに限らず原画のサイズ変更は残念。ワイド化するだけがいいとは思わない。
クジラ・イルカ生態写真図鑑―知られざる素顔に迫る (ブルーバックス)
この内容でカラー本は貴重です。
鯨やイルカの知りたい事が盛りだくさん!
解説より写真がメインですが、生態について十分知ることができます。
泡出し行動のページはとても癒されます。