猿の惑星:創世記(ジェネシス) 2枚組DVD&ブルーレイ&デジタルコピー(DVDケース)〔初回生産限定〕
「猿の惑星」と言えば、誰もがラストの自由の女神のシーンを思い浮かべる事でしょう。
元はフランスのSF小説に大幅な脚色を加えて制作された作品ですが、衝撃のラストで大ヒット作となり、今も名作と称えられているヘストン版は、その後のシリーズ作を生み出しました。
続編シリーズの映画ばかりか、テレビシリーズまで制作されましたが、やはりスマッシュヒットからの続編は尻すぼみで終わってしまい、最終的には地球が類人猿の支配する世界へとなった説明を提示したものの、やはり無理矢理な感じは納得させられる物ではありませんでした。
近年のリメイクでも、最新の猿メイクと、若干のオチを変えただけの駄作で終わっています。
旧シリーズの最後で人類に対して猿達を率いて蜂起したシーザーは、猿の惑星となった未来地球から滅亡直前に、逆タイムスリップして来たジーラとコーネリアスの残した子供であり、なぜ類人猿が人類を凌ぐ知能を持つに到ったかの説明にはなっていませんでした。
今度の新作「猿の惑星 創世記 ジェネシス」は原題「RISE OF THE PLANET OF THE APES」の通り、1頭のチンパンジーが驚異的な知能を獲得する設定に、最新の遺伝子治療実験が切っ掛けとなるリアリティーと、高い知性を持ったチンパンジーの迫害から絶望、そして自由を求める戦いを挑む決意にいたるまでの心理描写も実に丁寧に描かれ、見る者を感情移入させ、シーザーの悲しみと怒りに共感を持たされます。
映画でのストーリーは、最終的に自由を求める類人猿達と人間のゴールデンゲートブリッジでの大決戦が見せ場となり、ブリッジを突破した猿達はセコイアの森に安住の地を一応獲得した所までですが、この作品の本当のオチは、エンドロールと重なって流れる全世界の航空路が、次々と広がって全地球を覆い尽くす所にあります。
実に秀逸なエンディングで、余計な事は語らず、人類の滅亡と猿の支配する政界への変遷を見事に説明しています。
ただし、この秀逸なエンディングを理解するには、遺伝子治療が、無毒化したウイルスに遺伝子を組み込んで、患者にウイルス感染させる事で患者に新たな遺伝子を獲得させるという、遺伝子治療の原理についての知識が無いと意味が分からないかも知れません。
総てを語らず、問いかけて終わる・・・その先の未来は観客に想像させる。
これは科学技術の進歩は常に「諸刃の剣」であるという問題提起としても、近年に無い傑作と言えるでしょう。
PLANET OF THE APES / 猿の惑星 ― オリジナル・サウンドトラック
この作品にはトロンボーンのすごいハーモニーが聴ける、と紹介があったのですが、私はそのような印象はあまりありませんでした。
このCDを購入する上で、トロンボーンはそこまで売りにはならないと思います。
オーケストラとして聴いたときに「あ、トロンボーンはここで頑張ってるな」と思ったぐらいです。
逆に言えば、オーケストラとしての実力がすごいということでしょう。
まぁ私みたいにトロンボーン目当てでCDを購入する人は少ないでしょうが…
私は映画のサントラも好きなので、サントラとしてはいい作品だと思います。
ちなみに、この作品は少しだけしか観ていないのですが(笑)雰囲気はすごく良かったと思います。