高円寺純情商店街
一体これはなんだろう。サラサラ、ザワザワ、ソワソワ、ワクワク、イライラ、ハラハラ、ユラユラと、なんか文字が微かな振動をなし、それでもはっきりと耳にも肌にも伝わり、内側が反応して一緒にこだまするようなこのカンショク。
皮膚感覚とでも言うか。まったくこの作品なんかの原理を違反している。読者にその気持ちをまずもたせてから意図する効果をはかるという一般の作法を反している。つまり内から攻めるのが普通でしょう。それが本作はぜんぜん反対で、とにかく皮膚から攻めてくるのではないか。文字との共鳴を感じながら、心が微妙にむずむずとしてくる。
かますの干物にハエが産みつける卵についての一言を読んだだけで、小豆を仲良く並べたような目に毛だらけの蠅を、完全に想像してしまって、今では干物どころかかまぼこだのを見るとこの一節を思い出してしまう。参った。また、男性にしか共感できないかも知れないが、収録の「富士山の汗」のボリボリ感は絶品。
商店街から溢れる生活感と人間味を感触的に味わえるのは、本としてこれしかないと思えるほどお薦めだ。
本日開店―高円寺純情商店街 (新潮文庫)
ノンビリ気分の商店街の皆さんも大型スーパー進出話に一致団結! 前作の『高円寺純情商店街』に引き続き作者のねじめさんの人間描写の表現力に感心させられます。そこらじゅうにいるような本当に『普通』の人達の日常を面白く的確に文章で表現できるのねじめさんならではです。『そうそう、こういう場面あるある。』とか『わかる、わかるこの気持ち!』とか同感する場面が多数ありますよ。たくさん出てくるどの登場人物も憎めず愛らしく(?)個性的に感じます。それは作者の人間への暖かいまなざしがあるからでしょう。ストーリーとしては日常に体験しそうなちょっとした出来事の数々なんですが、これが面白い!
この作品を読むと単純に『人っていいなぁ。』と思います。それに絶対どこかの商店街にぶらっと行きたくなります。ほのぼの出来る作品です。
高円寺純情商店街 (新潮文庫)
一体これはなんだろう。サラサラ、ザワザワ、ソワソワ、ワクワク、イライラ、ハラハラ、ユラユラと、なんか文字が微かな振動をなし、それでもはっきりと耳にも肌にも伝わり、内側が反応して一緒にこだまするようなこのカンショク。
皮膚感覚とでも言うか。まったくこの作品なんかの原理を違反している。読者にその気持ちをまずもたせてから意図する効果をはかるという一般の作法を反している。つまり内から攻めるのが普通でしょう。それが本作はぜんぜん反対で、とにかく皮膚から攻めてくるのではないか。文字との共鳴を感じながら、心が微妙にむずむずとしてくる。
かますの干物にハエが産みつける卵についての一言を読んだだけで、小豆を仲良く並べたような目に毛だらけの蠅を、完全に想像してしまって、今では干物どころかかまぼこだのを見るとこの一節を思い出してしまう。参った。また、男性にしか共感できないかも知れないが、収録の「富士山の汗」のボリボリ感は絶品。
商店街から溢れる生活感と人間味を感触的に味わえるのは、本としてこれしかないと思えるほどお薦めだ。