頭の中と世界の結婚
純粋「悲しみ(悲性)」批判!
もともと、すばらしいアーティスト(文筆歌手)のマイルストーン!
彼女によってもう「悲しみは撃たれた」以上、
わたしたちは「悲しむ」必要が無くなりました。
そして「歌う」ことが出来ます。
ありがとう。
芥川賞受賞おめでとうございます
乳と卵(らん) (文春文庫)
前評判を全く知らずに読んだからでしょうか、私は読み終わった後、しばし読書の喜びにひたりました。
女性として生きることの苦しさと切なさ、その中に確固として存在する誇りを感じます。
悩みもがくすべての女性に幸あれ。
そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります (講談社文庫)
最初のページをめくり、びっくりした。
唐突に始まる長文。乱文。しかも関西弁。
自分自身に相槌うちながら、ほぼ一ページが読点だけでつながれていたり、
解釈不可能な文章が並べられていたり。初めて読む類の本でさるきちは動揺。
でもね、なぜか興味をそそられてそのまま最後まで読んでしまったのでした。
文筆歌手である川上未映子の2003年8月から2006年8月まで3年間の日記。
自己陶酔の単なる雑記かと思いきや、ところどころで
つん、と胸を突く言葉が埋められてる。
例えば、「なんて、絶望的な人生なんだろう」なんて、
誰しも一度はそう悲観的に思うことがあるだろう。
その表現の仕方が川上氏は独特で、でも的を得ているから面白いのだ。
こうした、彼女特有の、ココロを揺るがす文章があって
そのうち、DVが存在した彼女の両親や、不安症の病状など、
彼女の深いところをくすぶっている火種も垣間見ることができる。
単なる日記の部分もあります。
FM京都やチュロユニット「COTUCOTU」の
収録に向かう心情が描かれていたり。
サボテンのサボ子との同棲?の暮らしの様子など。
それから、意味不明なところも、あります。
でも…読了後、「確かに、世界がすこんと入ってるわ」と
大きく頷くことができると思う。
パンドラの匣 [DVD]
あっけらかんと呑気な雰囲気もある太宰の戦後学園キャラクター小説よりもグッとクールな感じの映画化作品。
原作は、完成度はさほど高くないけれど、馬鹿馬鹿しくキラキラした魅力の作品だけど、原作をかなり忠実に再現し、かつ『パビリオン山椒魚』の冨永監督と菊地成孔が独創的な味付けをして、簡単には言い難い、余韻が残る作品になってました。
よくもそんなところから集めたな、と思えるほどの多様な分野から集まった大胆なキャストが、本当にはまっている!
17歳に思えない主演・染谷の背伸びした大人ぶり、そして彼を取り囲む窪塚洋介のキラキラした目。仲里依紗のはじけっぷり(ゼブラクイーン前夜の最高の輝きを誇る)、映画初出演の川上未映子の堂々たる大阪女ぶり。そしてふかわりょうの使い方。
主題歌とモノローグのアンサンブル。最後の暗転の余韻。
いつの時代にもある青春のもやもやした時間の断片の中、“悶々”と“キラキラ”とが同居した、他にはない最高にエレガントな気分で映画館を後にできました。