ザ・ゾンビーズ オデッセイ&オラクル40周年コンサート [DVD]
この「国内盤」の発売元がMSIとは知らずに…。
60〜70年代の英米ロックが好きな方ならご存知かと思うが、MSIは直輸入盤に帯とライナーを付けて「国内盤」として
流通させているレコード会社である。別にインチキなどではなく、知る人ぞ知るマイナーバンドの作品や小レーベルから
ひっそりとリリースされていた貴重な内容の編集盤などを街のレコードショップで容易に買えるようにしたわけで、その
功績は小さくない。私も学生の頃などは作品のデータ欲しさに敢えて高価なMSI盤を買ってライナーで勉強させてもらっ
たりもした。
しかし、これは今のネット時代においてはなかなか厳しい。情報も商品も、自宅に居ながらいくらでも入手できてしまう
のだから。
しかもこれはDVDであり、その内容は単なるライヴではなくメモリアルなイベントである。メンバーがステージ上で観客に
向けてよく喋る。しかし上記のような仕様の「国内盤」なので、当然字幕は出ない…。これは厳しい。
いよいよ伝説の「オデッセイ」再現が始まるぞ、という期待を盛り上げるアル・クーパーによる長いスピーチの和訳くらい
は、せめてライナーに掲載するべきだった(そのライナーもCDサイズ…これくらいトールケースサイズにしろよ!)。
内容は素晴らしい。
何よりもブランストーンの声がよく出ているのには驚く(以前見た20年くらい前のステージ映像では結構キツかったのだ
が…)。高音部はさすがに少し辛そうだが、そこも誤魔化さずに丁寧に歌ってこちらを納得させてくれる。他のメンバーも
ほぼ現役なのでバッチリ。大きな破綻はない。
おまけに名盤「一年間」の曲まで弦をバックにオリジナルに準じたアレンジで披露されるというサービスぶりである。
発売時にはバンドはすでに解散という悲劇のアルバムがこうしてメンバーの手で再現されるのだからさぞ感慨深かった
ろうが、当事者たちは楽しみつつも意外に普通に演奏している。
それだけみんな大人になったということだろうか。
内容だけなら満点だったが、このあんまりな仕様で2点マイナス。私はまだ十分に大人ではないのだ。