泣き虫弱虫諸葛孔明〈第2部〉 (文春文庫)
はて第壱部(文庫)を読んだのはいつだったっけ。
手帳を見ると2010年1月。待たせすぎでしょ。
なんかもう、酒見さんに好き放題やられて、でもまたこっちも好きなもんだから、はまり込んでいく。
「陋巷に在り」とはまた違う引っ張られ方。
私は三国志より水滸伝、というクチなので、第壱部はおもしろかったけど読み続けるかなコレ(、ま、きっと読むけど)、とか思ってたけど、もう絶対読むよ。
三国志(と言われているもの)の史実、史実の世間的解釈、その酒見さん的解釈、でもって酒見さんの妄想、その妄想への自身のつぶやきを交えながら、ちゃんと物語る。それも格闘技ワザやら現代風俗用語を使って。
第壱部を読んだとき、「おもっしれーけど進まねぇな、この話」って思ったけど、はまり込んでしまった今では「進まないで。ゆっくりじっくり、でももっと滅茶苦茶にしてぇーー」って感じです。
ただ・・・、もっと早いペースで刊行して! お願い。
泣き虫弱虫諸葛孔明〈第1部〉 (文春文庫)
物語としては、「三顧の礼」に至るまでの諸葛孔明が描かれているのですが、とにかく、抱腹絶倒、笑い転げました。
今まで「三国志」の物語の中で紹介される諸葛孔明しか知らなかったので、臥竜計画の話や黄氏との結婚に至る顛末、そして黄氏の作る自動機械の話など、今まで良く知らなかったエピソードを楽しく読むことが出来ました。
それ以上に、今まで知っているエピソードにしても、作者の人を食ったような語り口と、信じられないような人物造型や解釈によって、笑わされ通しでした。
もちろん、こんな「三国志」は読んだことがありません。
結構長い話なのですが、そんなことを忘れさせる面白さがありました。
雲のように風のように [DVD]
昔テレビでやっているの見た。はっきり言ってすっごっくおもしろかった架空の歴史とはいえ中国歴史ものなのでかたくるしいものかと思ったんですけど。いい意味で期待を裏切られました。明るく自由奔放な銀河が恋し、滅び行く国の中で夫のコリューンと愛をはぐくむ姿は今見ても感動ですね。
泣き虫弱虫諸葛孔明 第参部
確かに別の人も書いているように、1,2部ほど弾けたところがない、というのも事実でしょう。
基本的にはほぼ誰でも知っている通りの赤壁ウォーズが展開されますが、さすがに三国志最大の見せ場では
天下の才人酒見賢一をもってしても、世の三国志常識から大きくはみ出すような冒険は犯せなかった、といったところでしょうか。
それにしてもこのシリーズを毎回読むたびに、雀劇界の巨人片山まさゆき描くところの(同じく)変態孔明が想起されるのは私だけでしょうか?
まあもとのテキスト(演義)が同じなので当然といえば当然なのですが、ちょっとしたセリフ回しひとつとっても
「一緒やろ」とついにやけてしまうようなシーンが数多くあります。
今作は片山まさゆきとともに「哭きの竜」という中高年雀劇ファン必須アイテムも登場しますので、SWEET三国志ともども
未読の方はぜひとも併せてwどうぞ。
後宮小説 (新潮文庫)
素乾(そかん)という国の歴史書、いわゆる正史として伝えられている記録を
もとに、筆者が正史の裏で実際に起きていたことを推測し、時に空想の翼を
自由に羽ばたかせて憶測を加え、書き記したのが本書である(という設定に
なっています)。
歴史上の出来事が簡潔に、ともすればぶっきらぼうな調子で記されている
素乾国・正史の文献に対して、「……と記されてはいるが、実際はどうだった
であろうか」「……とまで馬鹿正直に記載している。そんな史官の執筆態度に
好感を覚えてならない」などと感想を差し挟みながら、筆者が書き記していく。
正史ったってかなりいいから加減なもんじゃないかね? ならばこっちも
ちょいとね、大風呂敷を広げさせてもらいますさかい。そんな調子で、
筆者自らが楽しんで書いていってる姿を彷彿とさせる話の雰囲気、
それがとても楽しい。あちこちで、くすりとしながら読んでいきました。
素乾国の後宮を舞台にして、銀河という名の少女が活躍する物語。
誰に対しても物怖じすることなく、好奇心の赴くままに行動していく銀河。
彼女の溌剌として屈託のない言動が、友を呼び、人を動かし、やがて銀河伝説
といわれる歴史を産むことになります。物語の主人公・銀河のキャラもよかった
けれど、準主役にもキラリと光る人間がいました。なかでも、後宮「女学校」の
部屋で同宿者となった江葉と、傍若無人の漢(おとこ)・混沌のキャラが
印象に残ります。
後宮の学校の授業で房中術などが講義されますが、それがちっとも卑猥では
ありません。むしろ、爽快ですらありました。講師の角(カク)先生と銀河、
江葉との問答など、哲学的な色合いすら帯びていて、理屈抜きに面白かったな。