癌を語る
皇室といえば、ワイドショーや女性誌の定番ネタ、日本の「聖家族」としてのイメージが、婦人層を中心に国民に広く支持されている。しかし、元宮内庁関係者、あるいは皇族自身による書籍には、そうした一般的なイメージを覆す様々なエピソードが意外な程存在する。それらからは、皇室ゆえの、当事者にとっては不本意な「『特別扱い』という不自由」への反発が感じられる。
そうした皇室ネタと、これもまた婦人誌の定番ネタとして、特に身内に患者をもつ家族に精神安定剤的に読まれる闘病記が合体したのが、「癌を語る」である。
「ヒゲの殿下」で有名な三笠宮寛仁親王が、自らの食道癌発症とその手術の体験を、医師団のコメントと共に書き綴った本だが、皇族の中でも、毒舌で頑固者、若い頃は女性好き、バンカラで鳴らした殿下だけあり、ユニークなエピソードには事欠かない。特に、筋ジストロフィー症の知り合いと「まだ生きてるの?」「殿下も頑張りますねえ」といった挨拶を交わす場面などは衝撃的だ。そこには、パラリンピックが世に広く知られ、乙武君の「五体不満足」がベストセラーになった今の時代を先取りした、「障害者や病人も、可能な限り健常者と同じく扱う」という殿下の長年のポリシーが貫かれており、前述の「『特別扱い』という不自由」への異議申し立てと併せ、殿下の先見性と反骨心に、ある種の爽快さを覚える一冊である。
2012年版 プロ野球 問題だらけの12球団
毎年惰性で買い続けたこのシリーズ、今年は割と面白かった。
去年のなんか、あっという間に1冊読んでしまい、しかも何も印象に残らなかった。
このシリーズの熱烈ファンとしてあえて苦言を・・・
ストップウオッチはいらんて。読者は素人の野球ファンなんだから「疾風の如く駆け抜けた」とか「目にも止まらぬクイック」とか
「矢のような送球」とかの表現の方がいいって。○、○○秒とか言われてもどれだけすごいのかわからん。
あとテイクバックがどうのこうのとか、新人の投球や打撃フォームに関する批評が相変わらず多い。
失礼ながら作者は名球会員の打撃(投手)コーチでもなければ、元プロ野球選手ですらない。
故にかような批評は何となく違和感、というより反感を覚えるのは私だけであろうか?
新人選手について記載するなら、作者ならこそ知り得たエピソードやインタビューなど満載する方がよほど面白いと思う。